政府は9月29日、持ち回り閣議で臨時国会を10月5日に召集することを決めた。同じ日に発行された官報の特別号外第54号に召集詔書が載り、「日本国憲法第七条及び国会法第一条によって、令和八年十月五日に、国会の臨時会を東京に召集する」と記された。日付は令和8年9月29日で、内閣総理大臣の高市早苗氏が副署している。召集を前に、衆院の選挙制度改革と定数削減をめぐる各会派の協議が動いており、開会後の主要な論点になる。

決めたのは持ち回り閣議、案件はこの1件だけ

首相官邸が公表した「令和8年9月29日(火)持ち回り閣議案件」によると、この日の持ち回り閣議にかかったのは一般案件の「国会(臨時会)の召集について(決定)」1件で、担当は内閣官房と記されている。

持ち回り閣議は、閣僚が閣議室に集まらず、書面を順に回して署名を得る方式をいう。火曜と金曜の定例閣議とは別に、急ぐ案件があるときに開かれる。29日は午前に定例閣議も開かれているが、そちらの案件一覧に召集は入っておらず、召集の決定だけを別に固めた形になる。

召集そのものは、日本国憲法7条が天皇の国事行為として定める「国会を召集すること」にあたり、内閣の助言と承認によって行われる。詔書はその形式で、国会法1条とあわせて根拠に挙げられている。直前の国会は第221回の特別会で、衆議院の国会会期一覧によると、会期は令和8年2月18日から7月25日までの158日間だった。当初の会期150日に8日の延長を加えた日数である。

30日に協議会、報告書案は「次期衆院選は新制度で」

召集日を前に動いているのが、衆院の選挙制度をめぐる協議である。衆議院は議長の下に「衆議院選挙制度に関する協議会」を置いており、令和8年4月9日の議院運営委員会の議決に基づいて設置された。協議会は4月16日の第1回から7月28日の第7回まで開かれている。衆議院が公表した9月30日の開会情報によると、30日午後4時30分から第11委員室で会合が開かれる。

公明党が公式サイトで9月29日に公表した報告によると、28日に国会内で開かれた協議会の幹事会は、次の衆院選を新たな選挙制度で実施することをめざすとした報告書案に大筋で合意した。報告書案は、抜本改革に向けて議長の下に有識者による第三者機関「衆院選挙制度調査会(仮称)」を速やかに設置すると明記し、設置後1年以内をめどに答申をまとめたうえで、協議会で具体的な結論を得るよう努力するとした。抜本改革までの間に解散・総選挙が行われる場合を想定し、現行制度の見直しは10月末をめどに結論を出すことも記している。衆参両院の連携を模索することも盛り込まれた。

選挙区の側では、9月29日に公表された令和7年国勢調査の確定値が区割りの見直しを促す水準に達している。1票の格差、衆院小選挙区は2.2750倍 2倍以上が40選挙区 最多の福岡2区55万8760人、最少の石川3区24万5613人で伝えたとおり、小選挙区の較差は2倍を超えており、衆議院議員選挙区画定審議会が改定案を勧告する条件に当てはまる。協議会が扱う制度そのものの議論と、区割りの機械的な見直しが、同じ時期に並んで進むことになる。

定数削減法案は採決されないまま閉会中審査

定数の削減は、前の国会から持ち越されている。衆議院の議案情報によると、「衆議院議員の選挙制度改革及び定数削減に関する法律案」(第221回国会・衆法第28号)は加藤勝信議員ほか10人が提出し、提出会派は自由民主党・無所属の会と日本維新の会。6月24日に衆議院が受理し、26日に政治改革に関する特別委員会へ付託されたが、採決されないまま閉会中審査となっている。

衆議院が公表した法案の要綱は、削減の中身を具体的に書いている。比例代表選出議員の定数を176人から45人減らして131人とし、衆議院議員の定数を420人とする、というものだ。ただしこの条文がすぐ効くわけではない。要綱は、議長の下の協議会で検討して結論を得るとしたうえで、その結論に基づく法制上の措置を法律の施行から1年以内に講じると定め、措置が講じられないまま1年が過ぎた場合に削減の規定が動き出す仕組みにしている。検討を促す仕掛けであり、削減の即時実施ではない。法案の詳しい内容は衆院定数削減法案、6月の提出から採決されず閉会中審査 減らす45人はすべて比例代表 協議が1年でまとまらなければ自動的に定数420人で伝えている。

幹事会に出席した公明党の中野洋昌衆院議員は記者団に、報告書案の意義として「抜本改革を次期衆院選までにやる道筋をつけた」ことを挙げた。与党が成立をめざす比例定数削減法案には「抜本改革に向けた合意が結ばれようとしている時に審議するのは非常に違和感を持っている」と語っている。公明党と民主改革の会などでつくる衆院会派「中道」も28日、定数削減は選挙制度とセットで進めるよう、10月5日召集の臨時国会で野党の意見をまとめて議論をリードする方針を確認した。47人の会派がどう動くかは、衆院に統一会派「中道」結成、47人で自民に次ぐ第2会派に 公明出身27人と民主改革18人ら 公明党は28人の復党を承認し衆参49人で伝えた会派の組み替えとあわせて、国会運営を左右する。