総務省は9月29日、同じ日に統計局が公表した令和7年国勢調査の確定値をもとに、選挙区ごとの人口を計算した結果の概要を公表した。衆院小選挙区で日本国民の人口が最も多いのは福岡2区の55万8760人、最も少ないのは石川3区の24万5613人で、多いほうを少ないほうで割った「1票の格差」は2.2750倍となった。石川3区の2倍にあたる49万1226人を上回る選挙区は40ある。衆議院議員選挙区画定審議会設置法は、5年目に行われる国勢調査で最多を最少で割った数が2以上になったとき、区割りの改定案を勧告すると定めており、今回の結果はこの条件に当てはまる。
最多は福岡2区、最少は石川3区
公表したのは自治行政局選挙部選挙課で、資料には「本日、総務省統計局より公表された令和7年国勢調査人口(確定値)に基づき、選挙区別人口等を計算した結果の概要を公表します」と記されている。
人口が多い順に見ると、福岡2区の55万8760人に続いて福岡1区が54万5892人、福岡3区が54万5355人、茨城6区が54万4756人、宮城1区が54万3517人、福岡5区が54万1602人と並ぶ。福岡県の3選挙区が上位5つのうち3つを占めた。
ここでいう人口は、住んでいる人すべてを数えた総人口ではなく、日本国籍を持つ人だけを数えた「日本国民の人口」である。設置法第3条が、区割りの基準となる人口を「最近の国勢調査の結果による日本国民の人口」と定めているためだ。同じ国勢調査の結果でも、外国人を含む総人口とは別の数字が使われる。
2倍以上が40選挙区、鳥取1区より少ない選挙区も4つ
最少の石川3区を基準にすると、その2倍は49万1226人。これを超える選挙区が40あった。40番目は大阪4区の49万2109人で、格差は2.0036倍と、ぎりぎり2倍を上回っている。
参考として、資料は鳥取1区を基準にした計算も載せている。鳥取1区の人口は25万7657人で、その2倍は51万5314人。これを超えるのは18選挙区だった。
一方、人口が鳥取1区を下回る選挙区は4つある。石川3区の24万5613人のほか、京都5区が25万3819人、茨城5区が25万6950人、秋田2区が25万7260人となっている。
同じ国勢調査の確定値は、世帯のすがたも示している。一人暮らしの世帯が2368万9024で全体の41.4% 5年で253万7982増 1世帯当たりは2.10人に 核家族は2010年以降で初の減少では、世帯の側から今回の集計を伝えている。
格差が2倍以上だと勧告が義務づけられる
設置法は、内閣府に置かれた衆議院議員選挙区画定審議会が区割りの改定案を作り、内閣総理大臣に勧告すると定める(第2条)。委員は国会議員以外から選ばれた7人で、両議院の同意を得て首相が任命する(第6条)。首相は勧告を受けたら国会に報告する(第5条)。
勧告の時期は第4条が決めている。10年ごとの大規模な国勢調査については、その人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行う。加えて第4条2項は、5年目に当たる年に行われる国勢調査について、各選挙区の日本国民の人口の最多を最少で割った数が2以上となったときは、同じくその人口が最初に官報で公示された日から1年以内に勧告を行うと定める。令和7年国勢調査はこの5年目の調査にあたり、今回出た2.2750倍は2を上回っている。
総務省が選挙区別の人口を計算して示すのは、今回が初めてではない。統計局が速報値にあたる人口速報集計結果を公表した5月29日にも、選挙部は「令和7年国勢調査人口(速報値)に基づく試算結果の概要」を出している。速報値は市区町村から出された要計表に基づく暫定の数字で、今回の確定値は調査票の記入内容を審査したうえで集計したものだ。区割りの基準となる日本国民の人口を選挙区ごとに確定した形で示したのが、今回の計算結果になる。
勧告の期限そのものは、すでに国会の議論にも現れている。6月に衆議院へ提出された定数削減法案の要綱は、法制上の措置を講ずる時期について「令和7年の国勢調査の結果に基づく衆議院議員選挙区画定審議会の勧告の期限〔令和9年5月29日〕を踏まえつつ」と記し、2027年5月29日という日付を挙げている。要綱はあわせて、選挙区を改定する必要があるときは勧告の期限を延長するなどの措置を講ずるとも書いている。
ただし、このときの見直しには制約がある。第3条3項は、第4条2項による勧告にあたっては「各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、変更しないものとする」と定めている。つまり都道府県ごとの小選挙区の数は動かさず、県内の線の引き直しだけで格差を縮めることになる。都道府県への議席配分をやり直す「アダムズ方式」の計算(第3条2項)は、10年ごとの大規模調査に基づく勧告のときに使われる仕組みで、今回はその対象ではない。
衆院の定数そのものをめぐる議論も続いている。衆院定数削減法案、6月の提出から採決されず閉会中審査 減らす45人はすべて比例代表 協議が1年でまとまらなければ自動的に定数420人で伝えたとおり、削減の対象として法案が挙げているのは比例代表であり、小選挙区の区割りとは別の筋の話になる。
参院の選挙区は3.1784倍
資料は参院選挙区についても計算している。議員1人当たりの日本国民の人口が最も多いのは東京都で、人口1354万3763人を定数12で割った112万8646.9人。最も少ないのは福井県で、71万187人を定数2で割った35万5093.5人だった。両者の較差は3.1784倍で、衆院小選挙区の2.2750倍より大きい。
東京都に次いで多いのは神奈川県の111万5310人、宮城県の109万8736人、大阪府の105万7181人、新潟県の102万2746人と続く。鳥取県・島根県、徳島県・高知県の合区2つを含む45選挙区の合計では、日本国民の人口が1億1951万770人、定数が148で、議員1人当たりは平均80万7505.2人となる。
参院の選挙区については、設置法のような第三者機関と期限の仕組みは置かれておらず、定数配分の見直しは国会自身が公職選挙法を改正して行う形になっている。
