環境省は5日、太陽光パネルの大量廃棄に備える新法の細目を決める検討会の第2回を11日に開くと発表した。10月30日の第1回の資料には、50トン以上のパネルを廃棄する事業者に事前の届け出を義務付ける案が盛り込まれている。届け出の対象は最大7398者と見込む。第2回は、リサイクルを担う処理業者の認定基準と処理基準を議題とする。
「多量」の線は50トン案
新法は、今年5月に成立し6月5日に公布された「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」だ。パネルを廃棄する者を3段階に分け、段階が上がるほど重い措置を課す。何トンから「多量」とするかは法律に書かれておらず、政令に委ねられている。
| 区分 | 想定される者 | 求められること |
|---|---|---|
| 太陽電池を廃棄する者 | 全量を自家消費する住宅など | リサイクルを含む処分方法の選択などに努める |
| 事業用を廃棄する者 | 発電事業者、工場・事業所、売電する住宅など | 国の判断基準に基づく取り組み。指導・助言の対象 |
| 事業用を多量に廃棄する者 | 多量に廃棄する発電事業者など | 上記に加え、計画の事前届け出と勧告・命令の対象 |
検討会の資料は、40トン、50トン、60トンの3案を比べた。いずれの案でも、2027〜2050年に出る見込みのパネルのうち多量廃棄者の分は約4割で、大きな差は出ない。差が出るのは、届け出の対象者数と、どこまで小さな設備が含まれるかである。
| 線引き | 届け出の対象者(最大) | うち600キロワット以下 | 1メガワット当たりの重量がこの値以上の機種 |
|---|---|---|---|
| 40トン | 8,368者 | 1,263 | 99.3% |
| 50トン | 7,398者 | 0 | 94.9% |
| 60トン | 6,784者 | 0 | 72.2% |
資料の考え方はこうだ。1メガワット以上のいわゆるメガソーラーは数十トン規模のパネルが出るため、できる限り対象に含める。機種の分布からは40トンか50トンが望ましい。一方、40トンでは小規模な設備まで及ぶため、過度な規制を避けるには50トンか60トンがよい。両方の条件を満たす50トンを線引きとする案である。
資料の換算は1キロワット当たり80キロで、50トンは出力625キロワットの設備にあたる。1枚20キロのパネルなら2500枚だ。対象者数は再生可能エネルギーの認定情報を基にした推計で、届け出は設備ごとに出すため、者の数とは必ずしも一致しない。
委員がこの案をどう評価したかは確認できていない。11月7日時点で、環境省の検討会のページに第1回の議事録は掲載されていない。
届け出から30日は排出できず
届け出の中身は、廃棄するパネルの数量と重量、排出の時期と場所、処分の方法、工事や処分の委託先などだ。届け出が受理されてから30日がたつまで、パネルの排出はできない。国はこの間に計画を審査し、判断基準に照らして著しく不十分なら計画の変更を勧告し、従わなければ命令できる。
全量をリサイクルに回し、処分先が認定事業者であるなどの条件を満たせば、30日の期間は短縮できる。リサイクルを選ぶ事業者の手続きを早くする仕組みである。
罰則もある。命令に違反すると100万円以下の罰金、届け出をせずに排出した場合や待機期間中に排出した場合は30万円以下の罰金となる。
届け出を逃れるために小分けで捨てる行為への対策も案に入った。同じ発電所の一連の廃止や設備更新で一定期間内に出るパネルは、一体の廃棄として重量を合算する。「一定期間」は1年を目安の例として挙げた。災害や故障による交換、通常の保守に伴う少量の交換は、客観的な証拠が確認できれば分割廃棄に当たらないものとする。排出状況の確認には電子マニフェストの活用を検討し、必要があれば報告徴収や立入検査で確かめる。
電卓は対象外、ペロブスカイトも外す案
法律の対象となるパネルの範囲も政令で決める。第1回の案では、重量の下限を1枚3.7キロとした。2011年以降に導入されたパネルの重量の下限は4.7キロで、2010年以前も小型の1機種を除けば3.7キロだった。一般的なパネルをほぼ全て含み、電卓に組み込まれたような小型品を除く水準である。
素材では、世界の年間生産量の約95%を占めるシリコン系と、化合物系のうちCIS/CIGSとカドミウムテルル(CdTe)を対象とする案が示された。化合物系の割合は約5%で、それぞれ再資源化の技術と処理ルートがあるとしている。
対象から外す案となったのは、普及しておらず再資源化の技術も確立していない有機系などだ。ガラス繊維を組み込んだフレキシブルパネルも、ガラスの分離が難しいとして外す。資料は、ペロブスカイト太陽電池を有機系に分類している。ペロブスカイト太陽電池の導入補助、二次公募を開始 締切は10月30日と11月20日 環境省のとおり環境省が導入を補助している次世代型のパネルだが、案のとおり決まれば当面はリサイクル制度の対象に入らない。資料は、定義を将来の技術や市場の動向に応じて見直すとも記している。
構造では、片面ガラスに加えて両面ガラスと建材一体型を対象に含める。ただし処理できる業者は限られる。今年度の実態調査では、回答した処理業者81社のうち両面ガラスを受け入れられるのは46社(56.8%)、建材一体型は21社(25.9%)だった。一方で両面ガラスは出荷容量の39.3%(2025年)を占めるまでになっている。
排出は最大年50万トン、施設は13万トン
国が新法を作った理由は、2030年代後半からパネルの排出が増え、年間最大50万トン程度に達するとの見通しにある。最終処分場の残りの容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が出るおそれがあるという。10月6日の合同会議で示された新しい推計は、故障率を見直してリユース率15%を反映した。足元から2030年代の排出量は従来の想定より少なくなったが、ピーク後も一定量の排出が続く。
受け皿はまだ小さい。2025年11月時点で、パネル専用のリサイクル施設は全国に87件、処理能力は年約13万トンにとどまる。ピーク時の見込みの約4分の1である。富山、山梨、岐阜、滋賀、大阪、和歌山、鳥取、山口の8府県には施設が1件もない。
費用の差も大きい。環境省の資料によると、リサイクル費用は1キロワット当たり8000〜1万2000円で、埋め立ては2000円程度からだ。この単価を出力625キロワットの設備に当てはめると、リサイクルは500万〜750万円、埋め立ては125万円程度からとなる。資料は、太陽光発電事業者の6割以上が実質的にリサイクルを検討していないとの業界団体の調査も引いている。
政府は、すべての廃棄者に一度に義務を課さず、費用を抑えてリサイクルできる多量の事業者から規制を段階的に強める方針だ。排出見込みの約4割を占める多量廃棄者が届け出の対象となり、残る約6割は届け出の外に置かれる。法律の附則は、必要があれば多量の要件を見直し、再資源化の選択の義務付けなどの措置を講じると定めている。
第2回は処理業者の認定基準
11日の第2回は16時から18時まで開かれ、YouTubeでライブ配信される。資料は開催までに環境省のサイトに掲載される。
認定は新法のもう一つの柱である。国が費用効率の高いリサイクル事業の計画を認定すると、その事業者は都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を受けずに事業ができ、保管基準の特例も受けられる。広い範囲からパネルを集めて処理し、費用を下げるのが狙いだ。
環境省は、パネルの重量の約6割を占めるガラスを資源として回収する処分方法を対象に想定している。リサイクルと熱回収の割合は、熱処理が約90〜95%、ガラス切断が約75〜95%、ガラス破砕が約60〜90%で、専用設備の導入費は熱処理とガラス切断が約1億円以上となる。具体的な基準は下位法令で決める。
検討会の委員は、全国知事会、日本経済団体連合会、産業技術総合研究所、早稲田大学、全国産業資源循環連合会の所属者5人で、事務局を経産省資源エネルギー庁と環境省が共同で担う。
国のスケジュールでは、12月初旬の第3回で廃棄者が守る判断基準を議論する。12月ごろから2027年3月ごろに審議結果の報告とパブリックコメントを行い、2027年春ごろに政省令と告示を公布して認定の事前申請を始める。施行は2027年秋〜冬ごろの予定で、資料は多少変わる可能性があるとしている。
