防衛省が公表した令和8年版防衛白書によると、陸上自衛隊が2025年度に処理した不発弾などは1655件で、重さは約37.4トンだった。前年度の令和7年版白書に載る2024年度の実績は1273件・約37.2トンで、件数は382件増えたのに重さはほぼ変わっていない。このうち沖縄県での処理件数が全体に占める割合は、2024年度の約34%から2025年度は約28%に下がった。
件数は増えたのに重さは変わらない
数字を1件あたりに割り直すと、違いがはっきりする。2024年度は約37.2トンを1273件で処理したので1件あたり約29キロ、2025年度は約37.4トンを1655件で処理したので1件あたり約23キロになる。小型の砲弾などの処理が増えた計算だ。白書は件数が増えた理由に触れていない。
海上自衛隊が担う機雷などの除去・処理は、2025年度が122個・約0.5トンだった。2024年度は1249個・約2.2トンで、個数は10分の1近くまで減っている。こちらも白書に理由の説明はない。処理は沖縄に限らず、白書には2026年3月に山口県周南市の徳山下松港で見つかった不発弾を海自隊員が処理する様子が写真で載っている。
沖縄に3割が集まる理由
沖縄県の割合が下がったといっても、1つの県で全国の約3割を占める状態は変わらない。内閣府沖縄総合事務局が事務局を務める沖縄不発弾等対策協議会の「不発弾等処理対策便覧」は、その理由を戦争の規模に求めている。沖縄では激しい艦砲射撃と砲爆撃に加えて地上戦が行われ、使われた弾薬約20万トンのうち5%にあたる1万トンが不発弾として残ったと推定されている。今なお約2千トンが地中に埋まっているとされる。
同便覧は、処理される不発弾を発見のされ方で2つに分ける。住宅建設や公共工事の際に偶然見つかる「発見弾」と、住民からの情報をもとに探査・発掘して掘り出す「埋没弾」で、大半は工事中に偶然出てくる発見弾だ。つまり件数は、掃討作業の進み方ではなく、どこでどれだけ土を掘ったかに左右される面がある。
処理を担うのは専門の部隊
陸上で不発弾が見つかったときの手順は、自衛隊法と1958年7月4日付の4省庁通達「陸上において発見された不発弾等の処理について」で決まっている。発見者が最寄りの交番か警察署に届け出て、県警本部長が自衛隊に処理を要請する流れだ。沖縄県内の処理は、陸自第15旅団の第101不発弾処理隊と、海自沖縄基地隊の沖縄水中処分隊が担う。第101不発弾処理隊の前身は1974年6月5日に発足した特別不発弾処理隊で、1993年3月30日に現在の編成になった。
処理には特殊で高度な技術が必要とされ、担い手は限られる。自衛隊全体では自衛官の充足率88.1% 定員24万7154人に対し現員21万7701人 最前線を担う「士」は57.8%にとどまる 令和8年版防衛白書という人手不足が続いている。
事前調査の義務化は2度の事故から
いまの仕組みは、2度の爆発事故のあとに作られた。1974年3月2日、那覇市小禄の下水道工事で打ち込み中の鋼矢板が埋没していた不発弾に接触して爆発し、死者4人、負傷者34人を出した。家屋や車両にも被害が出たこの事故を受けて、同月6日に公共事業不発弾等対策協議会が設置され、5月13日に沖縄不発弾等対策協議会へ組織替えされた。
2009年1月14日には、糸満市小波蔵の水道工事で削岩機の刃が不発弾に接触して爆発し、作業員を含む2人が重軽傷を負った。隣接する特別養護老人ホームにも被害が及んだ。これを機に、それまで国と県が発注する公共工事だけに義務づけられていた磁気探査を市町村の工事にも広げ、工事前の事前調査が義務になった。不発弾等事前調査データベースの構築や、処理の際に使う金属防護壁「ライナープレート」の市町村への無償貸し出しも、この事故のあとに始まっている。
