国税庁は10月、令和7事務年度の法人税等の申告(課税)事績の概要を公表した。2025年4月から2026年3月までに事業年度を終えた法人の申告をまとめたもので、申告所得金額の総額は118兆9000億円、申告税額の総額は21兆9962億円となった。前年度に比べて所得は16兆5619億円(16.2%)、税額は3兆2823億円(17.5%)増え、ともに6年連続の増加で過去最高を更新した。前年度からの増加額も、所得・税額とも過去最高だった。

所得は4年で約1.5倍、増加額も過去最高

法人税の申告件数は326万7000件で、前年度の322万件から4万8000件増えた。申告所得金額は前年度の102兆3381億円から118兆9000億円へ、申告税額は18兆7139億円から21兆9962億円へ増えた。地方法人税の申告税額も、2兆1719億円から2兆5320億円へ16.6%増えた。

過去の事績と並べると、増え方の大きさがわかる。申告所得金額は令和3年度の79兆4790億円から、令和4年度85兆106億円、令和5年度98兆2781億円、令和6年度102兆3381億円と増えてきた。令和7年度の118兆9000億円は、4年前の約1.5倍にあたる。前年度からの増加額は、令和5年度の13兆2675億円、令和6年度の4兆600億円に対し、令和7年度は16兆5619億円だった。

申告税額も同じ4年間で13兆9232億円から21兆9962億円へ増えた。令和6年度の伸びは7.6%にとどまったが、令和7年度は17.5%と大きく伸びた。

法人の申告所得金額の推移(億円)

0500,0001,000,0001,500,000794,790令和3850,106令和4982,781令和51,023,381令和61,189,000令和7
各年度に事業年度を終えた法人の申告所得金額の総額出典: 国税庁「法人税等の申告(課税)事績の概要」令和4〜7事務年度版
数値で見る(単位: 億円)
項目億円
令和3794,790
令和4850,106
令和5982,781
令和61,023,381
令和71,189,000

「令和7年度」の数字は何を数えたものか

この事績でいう「令和7年度」は、2025年4月1日から2026年3月31日までに終わった事業年度の申告を指す。3月決算の企業であれば、2026年3月期の決算にもとづく申告がここに入る。2026年7月31日までに出された申告を、8月末時点で集計した。災害などで申告期限が延びた前年度分の申告のうち、集計期間中に出されたものも含む。

申告所得金額は、黒字で申告した法人の所得を合計した額だ。赤字の法人の欠損金額は別に集計しており、令和7年度の申告欠損金額は17兆1046億円で、前年度の17兆4925億円から2.2%減った。

国内の法人数は2026年6月30日時点で351万法人と、前年から1.4%増えた。清算中の法人は除いている。申告割合は90.7%で、前年度の91.1%からやや下がった。

国の税収全体の決算は、7月の記事「2025年度の国の税収84兆2226億円 6年連続で過去最高 法人税はバブル期超え」で伝えた。この事績は法人の事業年度ごとの申告を集計したもので、国の会計年度ごとの税収とは集計の区切りが異なる。

黒字申告は37.3%、6割余りは黒字ではない

所得が過去最高になった一方、黒字で申告した法人は全体の一部にとどまる。黒字申告件数は122万件で、申告件数に占める割合(黒字申告割合)は37.3%だった。前年度の36.5%から上がったものの、残る6割余りの申告は黒字ではない。黒字申告件数は前年度の117万5000件から4万5000件(3.8%)増え、申告件数全体の伸び(1.5%)を上回った。黒字申告割合は令和5年度の36.0%から、令和6年度36.5%、令和7年度37.3%と2年続けて上がっている。

黒字申告1件あたりの所得金額は9745万5000円で、前年度の8707万4000円から11.9%増えた。赤字申告1件あたりの欠損金額は835万5000円で、前年度の855万6000円から減った。所得総額が増えたのは、黒字の法人の数と1件あたりの所得がともに増えたためだ。

増えた所得の半分近くは通算グループの法人

所得の伸びの多くは、グループ通算制度を使う法人から来ている。国税庁によると、グループ通算制度は、親法人とその親法人が完全支配する子法人を一つの企業グループとし、各法人が個別に法人税額を計算して申告しながら、その中で黒字と赤字を損益通算する制度だ。2022年4月1日以後に始まる事業年度から導入された。2026年6月30日時点の通算法人数は1万9974法人(親法人2160、子法人1万7814)で、法人全体の1%に満たない。

通算法人の申告所得金額は40兆5746億円で、前年度の32兆6885億円から24.1%増えた。増加額は7兆8861億円で、法人全体の増加額16兆5619億円の約48%を占める。全体の所得のおよそ3分の1を通算法人が稼いだ計算になる。通算法人を除いた法人の申告所得金額は、前年度の69兆6496億円から78兆3254億円へ、12.5%の増加だった。

通算法人の黒字申告割合は57.3%で、法人全体の37.3%を大きく上回る。黒字申告1件あたりの所得金額は35億5500万円だった。グループ内で損益を通算する前の所得金額は46兆7027億円、通算した後は43兆3331億円だった。

源泉所得税も過去最高、給与と配当が伸びる

同じ資料で公表された源泉所得税等の税額(2025年7月から2026年6月までに納められた分)は23兆8314億円で、前事務年度より3兆4870億円(17.1%)増えた。税額の総額と増加額は、いずれも過去最高を更新した。

所得の種類 令和6事務年度 令和7事務年度 前年比
給与所得 12兆3694億円 14兆2558億円 115.3%
配当所得 3兆2503億円 4兆974億円 126.1%
上場株式等の譲渡所得等(特定口座) 1兆4251億円 1兆6641億円 116.8%
非居住者等所得 1兆2031億円 1兆3149億円 109.3%
報酬料金等所得 1兆2211億円 1兆2565億円 102.9%
利子所得等 5365億円 8590億円 160.1%
退職所得 3389億円 3838億円 113.2%
合計 20兆3445億円 23兆8314億円 117.1%
源泉所得税等の税額の内訳(復興特別所得税を含む)出典: 国税庁「令和7事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」

金額で最も増えたのは給与所得で、1兆8863億円増の14兆2558億円だった。配当所得は8471億円増の4兆974億円、利子所得等は前年の1.6倍の8590億円になった。

法人税の申告では電子申告(e-Tax)の利用率が91.8%に達した。国税庁は、財務諸表などの添付書類もあわせて電子で出す「ALL e-Tax」を進めており、その割合は70.3%だった。会計ソフトから財務諸表のデータを出しにくい場合に備え、提出用のCSVデータを画面の案内に従って作れる簡易作成ツールを開発し、公開する予定だとしている。相続税など他の税目の電子申告の状況は「相続税の電子申告が7割に 前年度50.3%から急伸 国税庁の令和7年度e-Tax実績」で伝えた。