NTTドコモの5G SA(Standalone)サービスの契約者で音声通話、データ通信、SMSが使いづらくなっている障害は、5日午後5時時点の第六報でも「継続中」とされた。発生は午前11時18分ごろで、この時点で5時間42分が経過している。同社は午後4時時点の第五報で、不正アクセスの形跡やサイバー攻撃を示す事象は現時点までの調査で確認されていないとした。原因そのものは調査中で、復旧の見込みも示していない。
第五報で原因の項を更新 「攻撃の形跡」は確認されず
第五報は冒頭で「『項番4.原因』を更新しました」と記した。第二報から第四報まで「確認中」の3文字だった原因の項に、次の2文が入った。攻撃の有無に触れたのは、発生から4時間42分後の時点を示したこの告知が初めてだ。
- 「本事象の原因については引き続き調査中です」
- 「現時点までの調査では、事象発生前後を含め、不正アクセスの形跡やサイバー攻撃を示す事象は確認されておりません」
第2文は「現時点までの調査では」と範囲を区切っており、外部からの攻撃を否定し切る表現ではない。調査の対象が事象の発生前後を含むことは明記したが、調べた設備や手法には触れていない。故障した設備の種類や、作業の有無など、原因を絞り込む記述も無い。
午後5時時点の第六報は「第五報からの更新情報はありません」とし、「引き続き、復旧に向け対応しております」と添えた。影響エリアは全国のままで、同社の地域別の通信状況のページも同じ内容を載せ、復旧見込みを「確認中」としている。
告知は6回、対象を絞ったのは午後2時
ドコモの5G SA、全国で使いづらい状況続く MVNOと緊急通報は影響なし、4G切り替えを案内で伝えた第三報の後、同社は1時間ごとに告知を更新している。
| 告知 | 対象 | 緊急通報 | 原因の項 |
|---|---|---|---|
| 第一報 | ドコモ回線とMVNO(確認中) | 確認中 | 項目なし |
| 第二報(午後1時時点) | ドコモ回線とMVNO(確認中) | 確認中 | 確認中 |
| 第三報(午後2時時点) | 5G SA契約者 | 影響なし | 確認中 |
| 第四報(午後3時時点) | 5G SA契約者 | 影響なし | 確認中 |
| 第五報(午後4時時点) | 5G SA契約者 | 影響なし | 調査中。攻撃の形跡は確認されず |
| 第六報(午後5時時点) | 5G SA契約者 | 影響なし | 第五報と同じ |
出典: NTTドコモ「重要なお知らせ(通信障害等)」
5G SA以外の5Gと4Gの利用者、ドコモ回線を使うMVNO(格安SIMなどの仮想移動体通信事業者)に影響はないとする記述は、第三報から変わっていない。影響を受けた契約者の数は、第六報まで書かれていない。
同社の告知の一覧ページは、午後5時46分ごろに確かめた時点で、上部に「現在、ドコモの携帯電話サービス・各種サービスに重大な障害発生情報などはありません」との表示が残っていた。同じページの一覧には第六報が載っており、状況を知るには各報の本文を開く必要がある。
2024年4月にも全国で5G SA障害 当時は59分で復旧
ドコモの5G SAで全国に及ぶ障害が告知されたのは、今回が初めてではない。同社の一覧には2024年4月3日の事案が残っている。経過は今回とよく似ている。この時も初報はドコモ回線とMVNOを対象とし、緊急通報も使えない場合があると記した。その後の告知で「障害内容を再度確認し、初報からサービス影響を修正しました」として、対象を5G SAの音声通話とデータ通信に絞り、MVNOと緊急通報に影響はないと改めた。
異なるのは継続時間だ。
| 項目 | 2024年4月3日 | 2026年11月5日 |
|---|---|---|
| 発生 | 午前1時6分 | 午前11時18分ごろ |
| 継続時間 | 59分(午前2時5分に復旧) | 午後5時時点で5時間42分(継続中) |
| 影響エリア | 全国 | 全国 |
| 影響するサービス | 音声通話・データ通信 | 音声通話・データ通信・SMS |
| MVNO・緊急通報 | 影響なし | 影響なし |
| 原因 | 復旧の告知の時点で「調査中」 | 午後5時時点で調査中 |
出典: NTTドコモ「重要なお知らせ(通信障害等)」
今回は午後5時時点で、すでに前回の約5.8倍の長さになった。発生の時間帯も違う。前回は深夜の1時間だったのに対し、今回は平日の昼から夕方にかかっている。
同社の説明によると、これまでの5G(5G NSA)が5Gと4Gの設備を組み合わせて通信するのに対し、5G SAは5G専用の設備のみで通信する方式だ。同社は故障箇所を明らかにしておらず、この方式の違いと今回の障害の関係は告知からは分からない。
利用者の対処と、約款が定める賠償の条件
第六報の案内は第三報から変わらない。ネットワーク設定で4Gを選び、携帯電話を再起動するか機内モードの入り切りをすると、音声通話、データ通信、SMSを「ご利用いただける場合があります」という。必ず解消するとはしていない。
5G SAは申し込みが必要なオプションだ。iPhoneの場合、同社の案内では「設定」アプリの「モバイル通信」「通信のオプション」「音声通話とデータ」と進み、「5Gスタンドアローン」がオンになっていれば5G SAを利用できる状態にある。
問い合わせ先は次の通りで、いずれも24時間、年中無休で受け付ける。
- ドコモおたすけロボット(スマートフォン・パソコンから)
- ドコモの携帯電話から113
- 一般電話などから0120-800-000
賠償の条件は、同社の5Gサービス契約約款の第62条にある。同社の責めに帰すべき理由でサービスを提供しなかったとき、「全く利用できない状態」にあると同社が認知した時刻から24時間以上続いた場合に限り、賠償するとしている。額は24時間ごとに日数を計算し、対応する料金を基にする。全ての通信に著しい支障が生じ、全く利用できない状態と同程度となる場合も含むと定める。今回の「ご利用しづらい状況」がこれに当たるかどうか、同社は告知で触れていない。
影響人数と原因の説明が問われる
電気通信事業法施行規則は、国に報告する「重大な事故」の基準を定めている。緊急通報を取り扱う音声のサービスは1時間以上で利用者3万以上、インターネット接続サービスは2時間以上で3万以上か、1時間以上で10万以上だ。今回は時間の面ではいずれも超えている。当たるかどうかは利用者の数で分かれ、当たれば報告書の提出期限は発生日から30日以内となる。
ドコモでは10月以降も不具合の告知が続いた。10月23日と25日にはMVNO事業者向け設備の故障で一部のMVNOが使いづらくなり、28日には音声通話で緊急通報を含む不具合が起きた。30日にはドコモメールが通信設備の故障で使いづらくなった。今回の障害とこれらの関係について、告知に記述は無い。通信障害の報告、2025年度は7941件で13年ぶりの多さ 国への「重大な事故」報告は6件 原因の59%は他社の事故の巻き添えの基になった総務省の検証報告によると、2025年10月21日のドコモメールの障害は3時間52分続き、最大32万5564ユーザーに影響して重大な事故に数えられた。
通信事業者の職務は、回線を止めないことと、止まったときに誰がどれだけ影響を受けたかを速やかに示すことにある。同社は第五報で攻撃の形跡について調査の途中経過を示した。その一方で、影響を受けた契約者の数は発生から5時間42分たっても告知に載っていない。障害の規模を契約者が知るにも、重大な事故に当たるかを判断するにも、この数字が出発点になる。使えない時間を過ごした契約者の立場から見れば、同社は復旧後、影響を受けた人数と原因、10月以降の不具合との関係の有無を明らかにすべきではないか。
