NTTドコモの携帯電話サービスで5日午前11時18分ごろから、5G SA(Standalone)サービスの契約者の音声通話、データ通信、SMSが使いづらい状況が全国で続いている。同社が午後2時時点の第三報で明らかにした。当初は全回線とドコモ回線を使うMVNO(格安SIMなどの仮想移動体通信事業者)を対象としていたが、第三報で5G SA契約者に絞り、MVNOと緊急通報には影響がないとした。原因は確認中で、復旧の見込みも示していない。
対象は全回線から5G SA契約者へ
ドコモはこの日、3回の告知を出した。発生時刻が書かれていなかった第一報から、第二報で午前11時18分ごろの発生と分かり、第三報で影響の範囲が大きく狭まった。
| 告知 | 発生時刻 | 対象 | 緊急通報 | 原因 |
|---|---|---|---|---|
| 第一報 | 確認中 | ドコモ回線とMVNO(確認中) | 確認中 | 記載なし |
| 第二報(午後1時時点) | 午前11時18分ごろ | ドコモ回線とMVNO(確認中) | 確認中 | 確認中 |
| 第三報(午後2時時点) | 午前11時18分ごろ | 5G SA契約者 | 影響なし | 確認中 |
出典: NTTドコモ「重要なお知らせ(通信障害等)」
第三報は、影響エリアを全国としたうえで、「ドコモ回線利用MVNOには影響ございません」と明記した。5G SA以外の5Gと4Gの利用者にも影響はないとしている。発生から第三報の午後2時までで2時間42分が経過し、同社は「継続中」としている。
影響を受けた契約者の数は、第三報までの告知に書かれていない。同社は各報で「大変ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます」と謝罪し、復旧の見込みは「あらためてお知らせいたします」としている。
同社の告知の一覧ページの上部には、午後2時46分に確かめた時点で「現在、ドコモの携帯電話サービス・各種サービスに重大な障害発生情報などはありません。」との表示が残っていた。同じページの一覧には第三報が載っており、最新の状況は表示ではなく各報の本文で読むことになる。
利用者ができること 4Gへの切り替え
第三報は「お客さまへのご案内」の項を新たに設けた。ネットワーク設定で4Gを選び、携帯電話を再起動するか、機内モードをいったん入れて切ると、音声通話、データ通信、SMSを使える場合があるという。「場合がある」との案内で、必ず解消するとはしていない。
自分が対象かどうかは、5G SAのオプションを契約しているかで分かれる。5G SAは申し込みが必要なオプションサービスで、同社の案内によると対象の料金プランにはドコモ MAX、ドコモ ポイ活 MAX、ドコモ mini、ahamo、eximoなどが並ぶ。
iPhoneの場合、同社の案内では、設定アプリの「モバイル通信」「通信のオプション」「音声通話とデータ」と進み、「5Gスタンドアローン」がオンになっていれば5G SAを利用できる状態だ。機種やソフトウェアのバージョンによって画面は異なる場合がある。
問い合わせ先として、第三報は次の窓口を挙げている。いずれも24時間、年中無休で受け付ける。
- ドコモおたすけロボット(スマートフォン・パソコンから)
- ドコモの携帯電話から113
- 一般電話などから0120-800-000
5G SAとは 5G専用の設備だけで通信
5G SAは、5G専用の中核設備「5GC(5G-Core)」と5G基地局を組み合わせて通信する方式だ。SAは「単独」を意味する。これに対し、オプションを契約していない利用者が使う5G NSA(Non-standalone)は、5Gの設備と4Gの設備を組み合わせて通信する。
同社は5G SAの利点として、通信が5Gのネットワークで完結するため、利用者が多く混雑しやすい4Gの状況に左右されないことを挙げている。提供エリアは5G全体の利用可能エリアとは異なり、主要駅の周辺やスタジアム、大学、商業施設、観光地など人の流れの多い場所を中心に広げてきた。利用には対応機種に加え、対応するドコモUIMカードかeSIMが必要になる。
今回の告知は、5G SAの契約者に影響があり、それ以外の5Gと4Gには影響がないとするだけで、故障した設備には触れていない。4Gへの切り替えで使える場合があるという案内も、原因の説明は伴っていない。
MVNOに影響がない理由も、第三報には書かれていない。MVNOが5GのSA方式のサービスを実現する機能をめぐっては、総務省が格安SIMの5G「SA方式」へ、携帯大手に回線開放促す 総務省がMVNO指針の改定案で扱ったガイドライン改定案を公表している。改定案の概要資料は、開放を促す機能に「5GC連携機能」を加えるとし、現時点で「ローミング方式」と「Proxy方式」の2つがあり得るとしている。
10月中旬から相次ぐ不具合
ドコモでは10月中旬以降、災害によるものを除いても、利用者に関わる不具合の公表が続いている。
| 発生日 | 内容 | 時間 | 同社の説明など |
|---|---|---|---|
| 10月16日 | 緊急地震速報が端末に配信されず | — | 形式が一部異なるデータを正常に処理できず(総務相の説明) |
| 10月23日 | 一部のMVNOが使いづらく | 午後0時46分ごろ〜午後11時21分ごろ | MVNO事業者向け設備の故障 |
| 10月25日 | 一部のMVNOが再び使いづらく | 午前11時54分ごろ〜午後2時15分ごろ | MVNO事業者向け設備の故障 |
| 10月28日 | 音声通話が一部で使いづらく | 午後4時30分ごろ〜午後5時29分ごろ | 原因は確認中(告知の時点) |
| 10月30日 | ドコモメールが一部で使いづらく | 午後4時56分ごろ〜午後5時52分ごろ | 通信設備の故障 |
出典: NTTドコモ「重要なお知らせ(通信障害等)」、総務省「藤井総務大臣閣議後記者会見の概要」
10月28日の音声通話の不具合は、北海道、東北、関東、北陸、東海の各エリアで影響があった可能性があり、ドコモとドコモのMVNOが対象だった。この時は「緊急通報もお客さまによりご利用しづらい状況が発生しておりました」と告知している。今回は緊急通報に影響がないとしており、この点が異なる。
ドコモ端末に緊急地震速報が届かず 総務相「他社にも必要な対応を促す」の事案について、藤井総務相は10月20日の記者会見で「緊急地震速報の確実な伝達は重要」と述べ、同社からシステム改修を実施済みとの報告を受けたと説明した。
5日にはNTTドコモ・フィナンシャルグループのスマホ決済「d払い」についても、使いづらい事象とその復旧の告知が同じ一覧に並んだ。告知の本文は取得できず、携帯電話の障害との関係は確認できていない。これらの不具合の相互の関係について、確認した告知に記述はない。
影響人数と原因の説明が次の焦点
電気通信事業法施行規則は、国への報告の対象となる「重大な事故」の基準をサービスの区分ごとに定めている。緊急通報を取り扱う音声のサービスは1時間以上で利用者3万人以上、インターネット接続などのサービスは2時間以上で3万人以上か、1時間以上で10万人以上が基準だ。今回は第三報の時点で2時間42分が経過しており、時間の面ではいずれの基準も超えている。当たるかどうかを分けるのは影響を受けた利用者の数で、それが公表されていない。
総務省の通信障害の報告、2025年度は7941件で13年ぶりの多さ 国への「重大な事故」報告は6件 原因の59%は他社の事故の巻き添えの基になった検証報告は、2025年度の重大な事故の1件として、ドコモの事例を載せている。2025年10月21日に発生し、3時間52分にわたって最大32万5564ユーザーのAndroid端末でドコモメールが使いづらくなった。報告は原因を、設定の誤りと、設計の段階で担当チームの影響検討が実施されなかったことに求めている。
携帯電話は、通話と決済、災害時の情報の受け取りを1台で担う。緊急通報に影響がないと早い段階で示せるかどうかは、利用者の安全に直結する。今回、同社は午後1時と2時の時点を示して告知を更新したが、第一報と第二報は緊急通報への影響を「確認中」としており、影響なしと示したのは第三報だった。
通信事業者の職務は、回線を止めないことと、止まったときに誰がどれだけ影響を受けたかを速やかに示すことにある。使えなくなった契約者の立場から見れば、同社は復旧後に、影響を受けた契約者の数と原因、10月以降の一連の不具合との関係の有無を明らかにすべきではないか。
