厚生労働省は10月2日、2026年8月分の一般職業紹介状況を公表した。有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準だった。1年前の令和7年8月は1.21倍で、この1年は1.17倍から1.21倍の間を小さく動いている。新規求人倍率(同)は2.06倍となり、前月の2.10倍から下がった。

有効求人倍率とは何を測った数字か

一般職業紹介状況は、全国のハローワーク(公共職業安定所)が受け付けた求人・求職・就職の状況を厚労省が毎月まとめている統計で、求人倍率などの指標をつくることを目的としている。対象はハローワークを通じた求人・求職に限られ、パートは含むが新規学卒者は含まない。

有効求人倍率は、月間有効求人数を月間有効求職者数で割った数字だ。「有効」とは、申し込んだ月を含めて3か月目の月末まで効力が続いている求人・求職を指す。8月の月間有効求人数は222万7740人分、月間有効求職者数は192万4184人で、求職者1人あたり1.16人分の求人があったことになる(季節による振れを取り除く調整をすると1.18倍)。1倍を上回れば求職者より求人が多い状態、下回れば仕事が見つけにくい状態を表す。

厚労省の愛媛労働局は、有効求人倍率を総務省がまとめる完全失業率と並ぶ労働市場の代表的な指標と位置づけている。ただし両者は調べ方が違い、有効求人倍率はハローワークの窓口での求人・求職を数えたもの、完全失業率は世帯を抽出して聞き取る労働力調査によるものだ。同じ8月分の完全失業率は完全失業率、2026年8月は2.5% 7月の2.4%から上昇 一方で完全失業者は180万人と13か月ぶりに減少 就業者は6849万人のとおり2.5%だった。

正社員はちょうど1.00倍、新しい求人は3.4%減

正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍で、前月と同水準だった。この数字は、正社員の月間有効求人数(112万7745人分)を、パートタイムを除く常用の月間有効求職者数(114万1889人)で割って出している。1.00倍は求人と求職がほぼ同数という水準で、正社員を希望する人が全員1つずつ職を選べる計算になる。ただし厚労省は、割る側の求職者に派遣労働者や契約社員を希望する人も含まれるため、厳密な意味の正社員有効求人倍率より低めに出ると注記している。

一方、8月に新しく受け付けた求人は71万8656人分で、前年同月より3.4%少なかった。就職が決まった件数は7万3616件で0.7%減。新規求人数に対する就職件数の割合(充足率)は10.2%で、前年同月の10.0%からわずかに上がった。

従業員1000人以上の新規求人が2割減

新規求人の減り方は、企業の大きさでまったく違う。従業員1000人以上の企業は6852人分で前年同月より20.9%減り、内訳ではパートタイムが30.2%減、パートを除く求人が15.5%減だった。これに対し29人以下は45万9894人分で3.4%減、30〜99人は3.0%減にとどまった。29人以下だけで新規求人全体の64%を占めており、求人市場の大半は小さな事業所が支えている。

産業別では、宿泊業・飲食サービス業が11.1%減、卸売業・小売業が10.2%減、生活関連サービス業・娯楽業が5.7%減と、客を相手にする業種がそろって減った。宿泊業・飲食サービス業は令和7年9月以降、公表資料に載っている12か月のうち11か月で前年同月を下回っている。人手が足りないと言われる業種で求人そのものが減っている形で、医療・運輸・接客など「社会インフラ関連職」の欠員率は約5% ほかの職種は1.7% 年間所得は約436万円、ほかの職種は約541万円で示された欠員の多さとは逆向きの動きになる。

増えたのは製造業の3.9%増、情報通信業の3.3%増、サービス業(他に分類されないもの)の0.9%増。情報通信業は令和7年9月から8年7月まで11か月続けて前年同月を下回っており、公表資料に載っている期間では8月が初めてのプラスとなった。

都道府県別は福井1.72倍、大阪0.95倍 東京は集計方法で1.07倍と1.70倍

都道府県別の有効求人倍率(就業地別・季節調整値)は、最高が福井県の1.72倍、次いで山梨県1.71倍、富山県1.68倍。最低は大阪府の0.95倍で、福岡県0.97倍、北海道0.98倍と続き、1倍を下回ったのはこの3道府県だった。首位と最下位の差は0.77倍分で、同じ国内でも求人の出方が大きく違う。

厚労省は都道府県別の数字を2通りで出している。求人票に書かれた勤務地で集計する「就業地別」と、求人を受け付けたハローワークの所在地で集計する「受理地別」だ。受理地別では最高が東京都の1.70倍、最低が神奈川県の0.83倍で、順位が入れ替わる。東京都は就業地別だと1.07倍にとどまる。

厚労省の愛媛労働局は、この差が生まれる理由を、本社があるハローワークに全国の支社ぶんの求人を一括して出す企業があるためと説明している。東京のハローワークで地方を勤務地とする求人が出されると、受理地別では東京の求人として数えられる。本社が集まる地域では就業地別が受理地別を下回り、そうでない地域では就業地別のほうが高く出る傾向があるという。自分が働く地域の求人の出方をみるなら、勤務地で数えた就業地別のほうが実態に近い。

次回の令和8年9月分は、厚労省の公表予定によると10月30日午前8時30分に公表される。