帝国データバンクが9月18日に公表した企業の意識調査によると、2027年4月から2年間実施される飲食料品の消費税率の引き下げについて、「日本経済の活性化につながらない」と答えた企業が54.5%に上った。「つながる」は18.0%、「分からない」が27.4%で、慎重な見方が半数を超えた。調査は全国2万2060社を対象に8月18日から31日にかけて実施し、1万560社が回答した(回答率47.9%)。

自社への影響は「変わらない」が76.9%

自社の売り上げへの影響を聞くと、「変わらない」が76.9%と大半を占めた。「増加」は7.9%、「減少」は3.1%、「分からない」が12.0%だった。回答をもとに算出した期待売上増減率は、全産業で0.16%増にとどまる。

ただしこの増減率は、政策の効果を予測した数値ではない。帝国データバンクは、回答の方向と強さを要約した指標であり、企業ごとの売上高による加重はしていないと注記している。

慎重な見方の理由として、企業からは制度が2年限りである点を挙げる声が出た。一般土木建築工事の企業は「2年間では、税率を戻す際に消費控えが起きる。恒久的でなければ効果は弱い」と答えている。食料・飲料卸売からは「外食の税率が据え置かれるなら、内食の比重が高まり、外食業界には逆風となる」との回答があった。製造業からは、資材や輸送費にかかる税率が変わらなければ製品価格に十分反映されず、効果は限定的だとの指摘も寄せられた。

食品小売は増収、酒場・ビヤホール等は7.57%減

全体では小さな数字でも、業種ごとに見ると差は大きい。飲食料品小売は1.58%の増収を見込み、このうち各種食料品小売は2.63%増、料理品小売は1.35%増だった。飲食料品・飼料製造も1.14%増を見込む。

一方、飲食店は3.94%の減収を見込んだ。内訳では食堂・料理店等が3.53%減、酒場・ビヤホール等が7.57%減と、酒類を主に扱う業態で落ち込みが大きい。旅館・ホテルは0.74%減、飲食料品卸売は0.31%減だった。卸売のなかでも扱う品目で分かれ、乾物・缶詰等は2.16%増となる半面、酒類は2.98%減、穀類・豆類は1.84%減、野菜・果実は0.64%減を見込む。

明暗を分けているのは、引き下げの対象範囲だ。税率1%が適用されるのは、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品で、酒類と外食は対象から外れる。外食が10%のまま据え置かれる一方でスーパーの食材が1%になれば、税込み価格の差は現在より開く。家庭で食べる内食や、弁当・総菜を買って帰る中食へ需要が移るとの見方が、飲食店の減収予想につながっている。

食品小売からは「食料品の減税で家計に余裕ができ、その分が他の商品購入につながる可能性がある」との期待が示された一方、同じ食品小売から「自社は消費増の恩恵を受けるが、外食を中心に売り上げ減少となる業種への配慮が必要」との回答も出ている。弁当や持ち帰りが増えれば包装資材の需要が伸びる、との見方もあった。

外食事業者への支援は「予算編成の過程で具体化」

引き下げは、政府が9月15日に閣議決定した「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」に基づくものだ。2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を1%(国税0.78%と地方税0.22%相当分の合計)とする(食料品の消費税、2027年4月から2年間1%に 大綱案の中身 酒類・外食と新聞の定期購読は対象外)。

大綱は、外食と中食・内食の間に税率差が生じることを認めたうえで、外食事業者についてはテイクアウトなどの多角化を支援するとし、「影響の及ぶ業態などを見極めた上で、的確な支援を講ずる」と記した。資金繰りの支援や省力化への取り組みの支援も挙げている。ただし支援の中身は「予算編成過程において具体化する」とされ、現時点で金額や対象は示されていない。

事業者の実務面では、レジや値札、会計システムの変更が必要になる。大綱は、レジシステムの移行・改修に関する中小企業等への支援を行うとしたほか、総額表示の義務は維持しつつ、直ちに対応することが難しい場合は税率変更の前後の最大各2か月間、8%または1%での総額が表示されていればよいとする特例を置いた。簡易課税の「2年縛り」を解除する特例や、2027年1月1日より前に契約した定期供給契約の予約販売に8%を適用する経過措置も設ける。

今回の調査は8月18日から31日にかけて行われており、9月11日に大綱案が地方に示される前の時点の受け止めにあたる。この間、物価の上昇は続いている。総務省が9月18日に公表した8月の消費者物価指数は、総合が前年同月比1.9%の上昇、生鮮食品を除く総合が同1.7%の上昇だった(8月の消費者物価、生鮮食品を除く上昇率は1.7%に鈍化 電気代とガソリンが前年より安く 一方でキャベツは45.0%高)。政府は関連法案を秋の臨時国会に提出する方針で、施行までに1年半余りの準備期間が残されている。