厚生労働省は10月7日、毎月勤労統計調査の2026年(令和8年)8月分結果速報を公表した。物価の上昇分を除いた実質賃金は前年同月より1.5%増え、今年1月から8か月続けてプラスとなった。ただし伸びは7月の2.0%から縮まった。名目の賃金である現金給与総額は働く人1人平均31万1364円で、3.8%増えた。

8か月続けてプラス 伸びは前月から縮小

実質賃金は、実際に受け取った賃金(名目賃金)の指数を消費者物価指数で割って算出する。名目の賃金が3%増えても物価が3%上がっていれば買える量は変わらない。その「買える量」の増減を見るための指標である。8月の実質賃金指数(2020年平均=100)は83.7だった。

月ごとの前年同月比をたどると、2026年は1月が0.7%増、2月が2.0%増、3月が1.4%増、4月が2.0%増、5月が1.6%増、6月が2.2%増、7月が2.0%増で、8月の1.5%増は今年に入って2番目に小さい伸びとなる。1年前の2025年8月は1.7%減だった。7月分については実質賃金、2026年7月は2.0%増で7か月連続プラス 2025年は12か月すべてマイナスだった 現金給与総額は43万4507円のとおり、速報の2.4%増から確報で2.0%増へ下方修正されている。今回の1.5%増も速報値であり、確報で改訂されることがある。

プラスが続いているのは、名目の賃金の伸びが物価の上昇を上回っているためだ。厚労省が参考として示した消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比は2.2%上昇で、名目の3.8%増がこれを上回った。帰属家賃を含む「総合」で実質化した場合の実質賃金指数は85.6で、1.9%増となる。

名目は3.8%増 パートの時間当たり給与は1472円

名目の現金給与総額31万1364円の内訳は、基本給などのきまって支給する給与が29万8358円で3.9%増、そのうち所定内給与が27万7861円で3.8%増だった。賞与や手当などの特別に支払われた給与は1万3006円で、前年同月と同水準だった。8月は賞与の支給が少ない月のため、7月の43万円台から金額が大きく下がっている。

就業形態別では、フルタイムの一般労働者が39万9849円で3.7%増、パートタイム労働者が11万5905円で4.1%増と、パートの伸びが上回った。パートの所定内給与を所定内労働時間で割った時間当たり給与は1472円で4.3%増えた。この時間当たり給与は2022年の年平均が1242円で、4年間で230円上がっている。事業所規模30人以上でみた現金給与総額は34万4966円、3.7%増だった。

同じ事業所どうしで比べると2.8%増

毎月勤労統計調査は標本調査で、対象となる事業所は定期的に入れ替わる。賃金水準の異なる事業所が出入りすると、それだけで平均額が動くため、厚労省は前年同月と同じ事業所だけを抜き出した「共通事業所」の集計も併せて公表している。

その共通事業所ベースでは、現金給与総額は2.8%増、所定内給与は3.1%増だった。一般労働者は2.5%増、パートタイム労働者は5.1%増である。全体の3.8%増より低く、物価上昇率2.2%との差は小さい。賃上げの広がりを事業所の入れ替わりの影響を除いて見ると、伸びは控えめだということになる。今回の調査は3万3045事業所を対象に行われ、2万2241事業所が回答した。回収率は67.3%だった。

残業は2.2%増 米国は時給が0.3%減

労働時間は、総実労働時間指数が0.5%増、うち所定内労働時間が0.4%増、残業などの所定外労働時間が2.2%増だった。働く人の数を示す常用雇用指数は0.8%増。雇用の需給については有効求人倍率、2026年8月は1.18倍で前月と同水準 正社員はちょうど1.00倍 都道府県別は福井1.72倍から大阪0.95倍まで 従業員1000人以上の新規求人は20.9%減のとおり、同じ8月の有効求人倍率は1.18倍で前月と変わらなかった。

厚労省が各国の公表値を集めた比較(2026年9月29日時点)では、2026年8月の実質賃金は日本が1.9%増だった。米国は時給が0.3%減、週給が0.3%増。英国とドイツは8月分が未公表となっている。この比較は国際比較のため、日本についても帰属家賃を含む「総合」の消費者物価指数で実質化した値を使っている。