英国の国家統計局(ONS)は9月23日、イングランドとウェールズの離婚統計を公表した。2025年に離婚した男女の夫婦が結婚していた期間は中央値で13.0年となり、統計をさかのぼれる1963年以降で最も長かった。最も短かった1985年の8.9年から4年あまり延びている。ONSは「離婚までに結婚生活が長く続くようになるという長期の傾向が続いている」と説明している。この統計が対象とするのはイングランドとウェールズだけで、スコットランドと北アイルランドは別に集計されている。
相手の落ち度を主張しなくても離婚できる制度
イングランドとウェールズでは、2020年に成立した「離婚・解消・別居法」(Divorce, Dissolution and Separation Act 2020)が2022年4月6日に施行され、離婚の手続きが大きく変わった。
改正後の条文は、夫婦の一方または双方が「結婚が修復不能なまでに破綻した」という陳述を添えて裁判所に申し立てれば、裁判所はその陳述を「決定的な証拠」として扱い、離婚命令を出さなければならないと定めている。改正前は、英政府の説明によれば「不当な扱い」や不貞といった相手の行いを申し立て側が言い立てるか、数年の別居期間を置かなければ離婚が認められなかった。この立証が不要になり、限られた事由を除いて相手が離婚を争うこともできなくなった。
一方で手続きには待ち時間が設けられた。申し立ての開始から20週間が過ぎるまで当事者は手続きの継続を裁判所に確認できず、裁判所が出す「条件付き命令」から6週間たつまで離婚は確定しない。法律は、二つの期間を合わせて26週間を超えないよう上限も定めている。英政府は施行時の発表で、この20週間について「和解が不可能な場合に、夫婦が将来の現実的な取り決めに合意する機会を広げるもの」と説明していた。
件数は横ばい、4件に1件が夫婦そろっての申し立て
2025年に成立した婚姻とシビルパートナーシップの解消は10万5961件で、内訳は離婚が10万5002件、シビルパートナーシップの解消が959件だった。2023年の10万3816件、2024年の10万5664件とほぼ同じ水準で、年15万件前後だった1980年代・1990年代・2000年代初めより少ない。
既婚者1000人あたりの離婚率は、男女の夫婦で8.4だった。1993年の14.2から下がったままで、直近10年の平均並みだという。同性婚は19.5で、2024年とほぼ同じだった。同性婚の離婚は2123件で、2015年に同性婚の離婚が始まって以来最も多かった。
新しい法律に基づく解消は9万9795件と全体の94.2%を占めた。施行年の2022年は9.2%で、そこから毎年増えている。2022年4月6日より前に始まった手続きと婚姻無効の宣告だけが旧法で処理されるため、この割合はさらに上がるとONSはみている。新法で認められた手続きのうち74.1%は一方からの申し立て、25.9%は夫婦がそろって出した共同の申し立てだった。共同の申し立てが過半数を占めたのは、男女のシビルパートナーシップの解消(56.9%)だけで、こちらは新法での件数が269件と少ない。
日本とは数え方が違う
日本でも離婚は減っている。厚生労働省の人口動態統計月報年計(概数)によると、2025年の離婚は17万9068組で、前年の18万5904組より6836組減った。人口1000人あたりの離婚率は1.55から1.50に下がっている。
ただし、両国の「離婚率」をそのまま並べることはできない。ONSの8.4は既婚者1000人あたりの数字で、分母は結婚している人だけだ。厚労省の1.50は人口1000人あたりで、独身者も子どもも分母に入る。海外の統計と日本の統計を突き合わせるときに分母の取り方が結果を左右するのは、EUの労働災害死亡、2024年は3367人 建設業が23.0%を占める 就業者10万人あたり1.65人、日本は2025年に700人で過去最少でも同じだった。
結婚期間の集計方法も異なる。ONSは結婚から離婚までの期間について中央値を出している。データの散らばり方が左右対称ではないため、平均より中央値のほうが実態を表すという理由からだ。これに対し厚労省は「同居期間」の分布を公表している。2025年は同居5年未満が4万8154組、20年以上が3万9886組だった。前年より増えたのは同居30年以上の区分だけで、30年以上35年未満が5690組から5790組、35年以上が7193組から7336組になった。
集計の物差しは違うものの、長く連れ添った夫婦の離婚が目立つようになっている点は、イングランドとウェールズと日本に共通している。
