厚生労働省は10月7日、生活保護の被保護者調査(令和8年7月分概数)の結果を公表した。7月に生活保護を受けていた人は196万9655人で、前年同月の199万93人より2万438人(1.0%)少ない。受給世帯は164万4102世帯で、前年同月の164万7618世帯から3516世帯(0.2%)減った。
受給者は10年で17万人減ったのに、世帯数は増えた
人の減り方と世帯の減り方が合わないのは、1世帯あたりの人数が縮んでいるためだ。
10年前の平成28年7月分と並べると、その差がはっきり出る。当時の受給者は214万5072人、受給世帯は163万4759世帯だった。10年で受給者は17万5417人減ったが、世帯数は逆に9343世帯増えている。1世帯あたりの人数を単純に割り算すると、1.31人から1.20人へ下がった計算になる。
人口に対する割合である保護率も下がり続けている。保護率は、その月の受給者数を同じ月の総務省「人口推計(概算値)」で割った値で、国民100人のうち何人が生活保護を受けているかを示す。平成28年7月は1.69%、令和3年7月は1.63%、今回の令和8年7月は1.60%だった。100人に1.6人という水準である。
受給世帯の半分が「ひとり暮らしの65歳以上」
世帯の中身を見ると、変化の中心は高齢者だ。保護停止中を除いた163万5284世帯のうち、高齢者世帯は90万3116世帯で55.2%を占める。厚労省の用語の解説では、高齢者世帯とは男女とも65歳以上の人だけで構成されている世帯か、そこに18歳未満の人が加わった世帯をいう。
その高齢者世帯の内訳が、世帯数が減らない理由を説明している。単身世帯が84万4423世帯で、受給世帯全体の51.6%にあたる。2人以上の世帯は5万8693世帯(3.6%)にとどまり、前年同月の6万1106世帯から3.9%減った。10年前は単身が75万5069世帯(46.4%)、2人以上が7万8378世帯(4.8%)で、単身が約9万世帯増え、2人以上は約2万世帯減っている。
直近1年に限っても同じ動きが出ている。高齢者世帯の総数は前年同月の90万4728世帯から1612世帯減ったが、単身世帯だけは84万3622世帯から801世帯増えた。減っているのは2人以上の世帯である。世帯が分かれて単身になれば、受給する人の数は減っても世帯の数は減らない。
母子世帯は10年で4万4119世帯減、増えたのは障害者・傷病者世帯だけ
4つの世帯類型のうち、最も大きく減ったのが母子世帯である。7月は5万4892世帯(3.4%)で、前年同月の5万8698世帯から3806世帯(6.5%)減った。10年前は9万9011世帯(6.1%)あり、この間に4万4119世帯減ったことになる。母子世帯の定義は、死別・離別・生死不明・未婚などで現に配偶者がいない65歳未満の女性と、18歳未満のその子だけで構成されている世帯だ。
一方、前年同月を上回ったのは障害者・傷病者世帯だけだった。41万8114世帯(25.6%)で、前年同月の41万3957世帯から4157世帯(1.0%)増えている。障害者世帯は世帯主が障害者加算を受けているか心身の障害のため働けない世帯、傷病者世帯は世帯主が入院中か在宅患者加算を受けている世帯、または傷病のため働けない世帯を指す。障害に関する給付の運用は国会でも取り上げられており、国民民主、障害年金センターを視察 初診日ルールと認定調書の扱いを質疑 不支給の再点検では1万4841件中444件が支給に転じるのように、認定の線引きそのものが論点になっている。
失業者などを含む「その他の世帯」は25万9162世帯(15.8%)で、前年同月の26万1101世帯から1939世帯(0.7%)減った。
申請は前年を上回り、保護開始は減った
入口の数字は増えている。7月の保護の申請件数は2万5236件で、前年同月の2万5085件から151件(0.6%)増えた。前月の6月は2万970件で、そこからは4266件多い。5年前の令和3年7月は2万757件で、今回はそれより4479件多い。4月分の集計でも生活保護の申請、4月は2万861件で2か月連続増 厚労省速報、前年同月比1.3%増と前年を上回っていた。
ただし、実際に保護が始まった世帯数は2万170世帯で、前年同月の2万692世帯から522世帯(2.5%)減っている。令和3年7月の1万7201世帯からは2969世帯増えているが、直近1年では申請が増えて開始が減る形になった。厚労省は被保護者調査の概数を毎月まとめており、7月分のより細かい集計は政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載している。
