高市早苗首相は9月26日午後9時から約20分間、トランプ米大統領と電話会談を行った。外務省の発表によると、冒頭にトランプ大統領から米中首脳会談について詳細な説明があり、両首脳は経済安全保障を含む経済や安全保障など、中国をめぐる諸課題を中心に意見交換した。日米の連携を確認し、揺るぎない日米同盟を改めて確認したうえで、共に地域そして世界の平和と安定に貢献していくことで一致した。首相は会談後、官邸で記者団の質問に答えている。

電話をかけてきたのは米側だ。首相は会見で「習近平国家主席の訪米直後というタイミングで電話をいただき、今般の米中首脳会談について、詳細に説明がございました」と述べた。米国が中国との首脳会談の中身を、同盟国である日本にその場で直接伝えた形になる。

4日前の会談で「来る米中首脳会談も念頭に」協議していた

今回の電話会談は、日米首脳が顔を合わせた4日後に行われた。国連総会に出席するためニューヨークを訪問していた首相は、現地時間9月22日午後1時5分から約35分間、トランプ大統領と会談している(高市首相、トランプ氏と会談 ICC赤根所長への米制裁で「率直にやり取り」 米中首脳会談を念頭に中国めぐり意見交換)。

外務省の発表では、この22日の会談で両首脳は「来る米中首脳会談も念頭に、経済安全保障を含む中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、日米で緊密に連携していく」ことで一致していた。米中首脳会談の前に日米で打ち合わせ、終わった直後に結果を共有する、という順序をたどったことになる。

両首脳の行き来はこの1年で重なっている。外務省は22日の会談について、「昨年10月のトランプ大統領の訪日、また、本年3月の高市総理の訪米の成果を踏まえ」協力を強化することで一致した、と記した。訪日と訪米、対面の会談、そして電話会談が1年のうちに積み上がった形だ。

22日の会談はAIや半導体、重要鉱物といった分野の経済安全保障協力、関税に係る日米間の合意の着実な実施、北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題、日米豪印(Quad)、国際刑事裁判所(ICC)まで幅広く扱った。今回の電話会談は中国をめぐる問題が中心だった。

首相は「9月22日のニューヨークでの首脳会談に続きまして、1週間の間に2度の首脳間の会談を実施したということは、正に日米同盟の絆(きずな)の強さを示すものであります」と語った。

米ファクトシートの「第2次大戦の同盟国」記述をどう扱ったか

会見では、米ホワイトハウスが9月25日に公表した米中首脳会談のファクトシートについて質問が出た。この文書には「両首脳は、米国と中国が第2次世界大戦において同盟国であり、戦争に勝つために共に戦ったことを振り返った」との一文がある。第2次大戦で米国と中国は連合国の側にあり、日本はその交戦国だった。米中が大戦時の協力を確認したという記述は、日本にとって素直には読みにくい。

首相はこの点について、自身から「日本と米国は、今やもう最も信頼し合える同盟国となっているということを申し上げまして、共に、地域、そして世界の平和と安定に貢献していくということを確認しました」と説明した。トランプ大統領から説明があったかどうかには触れず、具体的な会談内容は「外交上のやり取りでありますので、差し控えます」と述べている。

このファクトシートと中国外交部の公表文は、成果の書き方がそろっていない(米中首脳会談の成果、両政府の公表文が食い違う 同じ枠組みを米国は「超知能(SI)対話」、中国は「人工知能対話」と記す 石炭1000万トンとレアアースは中国側の8項目に無し)。日本は、内容が一致しない2つの文書ではなく、米大統領本人の説明を電話で受け取ったことになる。

発表は簡潔、会見記録は「速報版」

外務省が出した電話会談の発表は3段落で、扱った分野を列挙するにとどまっている。個別の案件名や数字は書かれていない。台湾への言及もない。官邸が公開した会見記録にも「※速報版」と注記がある。

対面の会談では発表が項目ごとに分かれ、どの分野で何を確認したかが読み取れる。今回の電話会談の発表はその形をとっていない。20分という短さと、米側から結果を伝えるという性質が、発表の分量にも表れている。

首相は「これからもトランプ大統領と緊密に連携をしていきたいと考えております」と述べて会見を終えた。