高市早苗首相は訪問先の米ニューヨークで内外記者会見を行い、同じ日に行ったトランプ米大統領との会談について「日米同盟や自由で開かれたインド太平洋を含む地域情勢について率直に議論」したと説明した。首相官邸が9月23日付で会見の速報版を公表した。米政府が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らに科した制裁については「トランプ大統領との間でICCについて率直にやり取りを行いました」と述べたが、制裁の扱いがどうなったかには触れなかった。
ICCは「一貫して支持」の立場で提起
首相は会見で、日本がICCについて「国際社会における法の支配の徹底のため、一貫して支持しております」と述べ、「このような立場を踏まえて」トランプ氏とやり取りしたと説明した。やり取りの具体的な中身や、米側の反応は明らかにしなかった。
赤根氏に対する制裁は、米財務省外国資産管理室(OFAC)が8月18日、赤根氏とセネガル出身のアブドゥライ・セイ氏の2人を特別指定国民(SDN)リストに加えたもので、米国内の資産が凍結される。OFACは同じ日に、既存の取引を整理するための一般許可12号も出した。赤根氏はOFACの記載でも出生地が愛知県、国籍が日本とされている。
根拠になっているのは、トランプ大統領が2025年2月6日に署名した大統領令14203「国際刑事裁判所への制裁」である。大統領はさらに2026年1月20日、ICCに関する国家緊急事態を1年延長する通知に署名しており、制裁の枠組みは今も続いている。
首相は9月17日の記者会見でも、この制裁について「今も米国に対して働きかけを継続しております」と述べていた(高市首相、ICC赤根所長への米制裁「今も米国に働きかけを継続」 日米首脳会談は「未定」 法の支配の強化に「必ず取り組む」)。その時点では首脳会談の日程は固まっておらず、今回、就任以来続けてきた働きかけを大統領本人に直接ぶつけた形になる。
米中首脳会談を前に中国を協議
中国については「来る米中首脳会談も念頭に、中国をめぐる諸課題についてタイムリーに意見交換を行いました」と述べた。そのうえで「米中関係が日本を含む国際社会の安定に資するものとなることが重要だと考えておりますので、ここは日米で緊密に連携をしてまいります」と語った。
会談ではこのほか、経済や安全保障に加え、AI、半導体、重要鉱物といった経済安全保障の分野で協力を強化することで一致したという。首相は「アジアでも厳しさを増す安全保障環境の下、本日、正にこのタイミングでのトランプ大統領との会談は、日米同盟の強さを世界に示すもの」と評価した。日米首脳会談は、官房長官が9月18日午後の記者会見で「行う方向で最終調整中」と説明していたもので、9月17日に発足した第2次高市改造内閣としては初めてとなる。
ゼレンスキー氏とも会談、支援と制裁の継続を伝達
首相はニューヨーク滞在中、ウクライナのゼレンスキー大統領とも首脳会談を行った。会見によると、首相は「日本はウクライナと共にあり」として、今年の冬に向けたエネルギー分野を含む支援と、ロシアへの制裁を続ける考えを伝えた。ゼレンスキー氏からはこれまでの支援への謝意が示されたという。
この会談をめぐっては、9月21日に国民民主党が実現を求める声明を出したばかりだった(国民民主党、日・ウクライナ首脳会談の実現を政府に要求 ドローン技術は「防衛力強化への活用の可能性も」 高市首相は21日から国連総会へ)。政権発足後初の日ウクライナ首脳会談が、国連総会の場で実現したことになる。
このほか首相は、トルコのエルドアン大統領と中東情勢について会談し、ホルムズ海峡での「いかなる追加的費用もない形での自由で安全な航行の確保」が重要だと指摘した。グテーレス国連事務総長との会談では、安全保障理事会改革の緊急性と、国連で働く日本人職員の増強を求めた。安保理改革は前日の一般討論演説でも訴えており(高市首相、国連憲章の「旧敵国条項」削除を国連総会で要求 「日本の誇りと名誉にかけて」 安保理は常任・非常任の双方拡大を)、同じ主張を事務総長に直接伝えた形だ。
首相は会見の最後に、年末にかけてASEAN(東南アジア諸国連合)、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20の首脳級会議が続くとして、「この一連の外交機会をとらえて各国との連携を深め」ると述べた。
