立憲民主党は9月30日、党税制調査会と党社会保障・雇用制度改革調査会の合同会議を開き、食料品の消費税を巡る党の方針を議論した。10月5日に召集される臨時国会では、政府が飲食料品の消費税率を8%から1%に下げる法案などを出す見通しで、熊谷裕人税制調査会長は、昨年の参院選で掲げた「食料品消費税0%」の公約を今後どうするかについて「政策転換をするのであれば、しっかりと議論をした上で政策転換をする必要がある」と述べた。
転換するなら地方議員にも説明が必要
会議の冒頭、熊谷税制調査会長は、臨時国会で食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる法案などの審議が見込まれることに触れたうえで、参院選の公約の扱いを党として決める必要があると指摘した。政策を転換する場合には、選挙を支えた地方自治体議員を含め、なぜ転換するのかをしっかり説明する必要があるとして、法案への対応と合わせて党の方向性を決めていく考えを示した。
臨時国会の召集日は、臨時国会は10月5日召集 9月29日の持ち回り閣議で決定し召集詔書を公布 衆院の選挙制度改革と比例定数削減が焦点のとおり9月29日の閣議で決まった。衆議院は「第222回国会(臨時会)は、令和8年10月5日に召集されます」と告知している。国会の冒頭では代表質問が行われる。国民民主党は9月30日、「10月5日(月)に開会する臨時国会の冒頭で、衆議院・参議院で代表質問が行われます」として、高市首相への質問内容を10月4日まで国民から公募すると公式サイトで告知した。各党は召集までに、法案への対応を含む国会での立ち位置を固める必要がある。
政府案は2年間で税率1%、国税0.78%と地方税0.22%
政府が9月15日に閣議決定した「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」によると、飲食料品の消費税率を下げる期間は2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間に限られる。税率は1%で、内訳は国税が0.78%、地方税が0.22%相当分である。
対象は、いま軽減税率8%が適用されている飲食料品で、範囲は8%のときから変わらない。ただし、同じ軽減税率8%が適用されている「週2回以上発行される新聞の定期購読分」は、今回の引き下げの対象から外れる。引き下げによる地方消費税の減収額は、全額を地方特例交付金で補うとしている。
この2年間の引き下げは、それ自体が最終形ではない。大綱は、2029年度(令和11年度)に「給付付き税額控除」を本格導入するまでの「つなぎ」と位置づけ、税率引き下げと、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲で実施する「就業者負担軽減支援金」を組み合わせるとしている。事業者向けには、還付申告ができる本則課税へ移る際の届出期限を後ろ倒しする特例、簡易課税事業者が飲食料品の販売で税額を発生させない特例、税率変更の前後に総額表示への対応を猶予する特例などを設ける。
公約は「2026年4月から0%」だった
立憲民主党が昨年の参院選で示した政策集は、食料品消費税0%について「2026年4月から食料品に係る消費税を現在の8%から0%に下げます。まずは1年間とした上で、経済情勢等を見ながら1回だけ延長可能とします」と書いている。同党は2025年10月31日、公約の実現を図るためとして「食料品消費税ゼロ法案」(正式名称は飲食料品に係る消費税の税率を引き下げて零とする臨時特例の創設及び給付付き税額控除の導入に関する法律案)を衆院に提出していた。
つまり、公約では2026年4月から税率0%、政府案では2027年4月から2年間1%と、開始時期も税率も食い違う。同党は政府の制度設計そのものにも疑問を示しており、立憲・水岡代表、食料品1%減税の給付設計に疑問 「年内にも住民税非課税世帯に給付を」では、支援金の支給額が決まらないまま制度が動き出す点を問題視していた。今回の議論は、法案への賛否を決めるにあたって、党自身の公約をどう扱うかという段階に入ったことを意味する。
「負担の付け替え」と批判、税・社会保障・雇用の三位一体を主張
石橋通宏社会保障・雇用制度改革調査会長は、熊谷税制調査会長の話に触れつつ、昨年と現在の状況をデータに基づいて比較した結果として「明らかにフェーズが変わっている。フェーズが変わった段階で今、同じことを言ってもだめだ」との認識を示した。昨年掲げた政策をそのまま続けるのではなく「現在の国民生活や経済を支えていくためには、政策を根拠を持って訴えていく」と述べた。
石橋会長はまた、政府・与党が食料品の消費税負担の軽減を進める一方で、その裏では医療や介護の負担増を検討しているとして「負担の付け替えであり、社会保障全体をどう支えるかという視点が全く欠けていると言わざるを得ない」と指摘した。そのうえで、社会保障制度改革と税制改革、雇用制度改革を三位一体で進め「立憲民主党らしい政策」を示していく必要があると強調し、臨時国会への対応に加えて今後も合同会議で議論を深めていく考えを示した。
