総務省は9月24日、電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)の一部を変更する告示案について、9月25日から10月26日まで意見を募集すると発表した。電話転送サービスの事業者が「03」などの固定電話番号を利用者に貸す際に義務づけられている本人確認の方法を絞り込む内容で、施行日は2027年(令和9年)4月1日とする。

書類のコピーを送るやり方は認められなくなる

新旧対照条文によると、削られるのは主に次の四つの方法だ。①本人確認書類を2種類提示してもらう方法、②書類を提示してもらったうえで別の書類か補完書類の写しを送ってもらう方法、③現住所が書かれた書類の写しを2種類(または写しと補完書類を)送ってもらい、その住所あてに転送不要の書留郵便を届ける方法、④事業者が用意したソフトを使い、利用者の顔と顔写真付き書類の画像を送ってもらう方法――の四つである。

このうち④は、オンラインで完結する本人確認(eKYC)の手法として広く使われてきたもので、規則の条文上の位置から「ホ方式」と通称されてきた。スマートフォンのカメラで免許証の表面・厚み・傾きを撮影させ、あわせて自分の顔も撮らせて照合する方式だ。手軽さの一方で、精巧に偽造された書類を画像越しに見抜くのは難しいと指摘されてきた。

代わりに加わるのは、ICチップを読む方法である。マイナンバーカードのように氏名・住所・生年月日・顔写真の情報がICチップに記録された書類の提示を受け、読み取り装置でチップ内のデータを読み出して画面に表示させる方法と、スマートフォンに搭載したマイナンバーカード(カード代替電磁的記録)の情報を送信してもらう方法の二つが新たに認められる。券面の見た目ではなく、チップに記録された電子データで確かめる形に切り替わる。

「他人名義の03番号」を絶ちたい

電話転送サービスは、事業者が持つ電話番号を顧客の連絡先として使わせ、その番号にかかってきた電話を顧客が指定する番号へ自動で転送する仕組みだ。総務省の資料では、犯収法第2条第44号に定められた業務と整理されている。事務所を構えずに都心の市外局番を名乗れるため、正規のビジネス用途も多いが、同時に犯罪の道具にもなってきた。

電話転送サービス事業者が犯収法の規制対象に加えられたのは、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の国際組織である金融活動作業部会(FATF)の勧告を踏まえたためだ。同法により、事業者には利用者の本人特定事項(氏名・住居・生年月日)の確認、確認記録の作成・保存、疑わしい取引の届出が義務づけられている。今回の変更は、この確認方法を定めた電気通信番号計画の別表第4を、犯収法施行規則の改正内容にそろえるものだ。

こうしたやり取りが一般家庭でどう見えるかについては、本人限定受取郵便、2027年4月から券面の目視をやめICチップ照合へ スマホのマイナンバーカードでも受け取り可能にでも取り上げた。日本郵便の本人限定受取郵便も、同じ2027年4月1日から郵便局員による券面の目視確認をやめ、ICチップとの照合に切り替わる。民間側の受け皿も広がっており、マイナンバーカードの電子証明書で本人確認をする事業者はマイナンバーカードで本人確認、民間1355社に 1年前は813社 増えた542社のうち295社は銀行・農協などのとおり、1年で542社増えた。

詐欺に使われた固定電話番号は年7547件

警察庁が令和8年5月22日に公表した確定値によると、2025年(令和7年)に特殊詐欺の犯行に使われたと各都道府県警から報告された電話番号は12万3138件で、前年の8万2540件から4万598件増えた。種別ごとでは国際番号が9万2996件と大半を占め、携帯番号が1万4593件、固定番号が7547件、050番号が6489件と続く。固定番号は前年の1万2835件から5288件減り、050番号も1万1033件から6489件へ減った。

警察庁は、悪質な電話転送サービス事業者が抱える未契約の「在庫番号」をまとめて止める仕組みを運用しており、2025年中は7件の要請で1018番号を利用停止にした。これとは別に、犯行に使われた固定電話番号544件、050IP電話番号1320件の利用が止められている。番号を止める事後の対策に加えて、そもそも他人になりすまして番号を借りられないようにする入り口の対策が、今回の本人確認の厳格化にあたる。

2027年4月に足並みをそろえる

大もととなる犯収法施行規則の改正命令は、令和8年3月6日に内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省による8府省の共同命令(第1号)として公布された。附則で施行日を令和9年4月1日と定めており、この日から電話転送サービス事業者を含む特定事業者の本人確認方法が一斉に切り替わる。総務省は意見募集で寄せられた意見を踏まえ、速やかに電気通信番号計画を変更する予定としている。

意見の提出先は電気通信技術システム課番号企画室で、郵送の場合は締切日の消印まで有効となる。告示案の本文と意見募集要領は、電子政府の総合窓口「e-Gov」のパブリックコメント欄に掲載されている。