総務省が公表した令和8年版情報通信白書によると、世界のデータセンターは米国への集中が際立っている。2025年11月時点で米国には4165か所があり、2位以下の15か国を合計した4061か所を、米国1か国で上回った。日本は242か所で、米国の6%程度にとどまる。
2位以下15か国を足しても米国1か国に届かない
データセンターは、サーバーやネットワーク機器をまとめて設置し、安定した電力と冷却、通信回線を備えた施設を指す。インターネット上のサービスは、利用者の端末ではなくこうした施設内の機器で処理されているため、その数と場所は、どの国がデジタルサービスの処理をどれだけ自国内で抱えているかを示す目安になる。
白書が引用した2025年11月時点のデータでは、米国の4165か所に対し、2位以下15か国の合計は4061か所だった。日本の242か所は米国の6%程度で、生成AIの学習や推論に使う計算資源も、施設の数の差がそのまま供給力の差につながりやすい。
国内では、電力に余裕のある地域へ処理を分散させる動きが始まっている。総務省は「AIの計算を電気の余る地方へ 総務省の分散データセンター実証7件が始動 三鷹・札幌・広島を光で結ぶ検証も」で伝えたとおり、大都市圏に偏った設置を地方へ振り向ける実証を進めている。
市場規模でも日本は世界の5%弱
売上高で見ると、世界のデータセンター市場は2025年に5275億ドルと見込まれ、2030年には7391億ドルまで拡大すると予測されている。このうち約半分は、ネットワークインフラに関連する機器やサービスが占める。
日本のデータセンターサービスの市場規模は2025年に253億ドルと見込まれ、2030年には351億ドルに増えると予測されている。世界市場に占める割合は5%弱にあたる。日本側でも約半分がネットワークインフラ関連という構成は変わらない。
施設が増える背景には、通信量そのものの増加がある。国内の固定回線を流れる通信量は「固定回線のインターネット通信量、前年同月比15.5%増 2026年5月は48.0テラビット毎秒 1契約1日当たり10.4ギガバイト」で伝えたとおり、前年同月から15.5%増えている。
クラウドは大手3社で6割超
データセンターの上で提供されるクラウドサービスも伸びている。世界のパブリッククラウドサービスの売上高は、2025年に9803億ドルと前年から22.4%増える見込みだ。白書は、事業運営にクラウドが不可欠になったことに加え、生成AIの基盤モデルの作成や関連アプリの利用が広がったことを要因に挙げている。
利用の受け皿は大手に偏っている。IaaS(基盤の貸し出し)、PaaS(開発環境の貸し出し)、ホスティング型プライベートクラウドを合わせたクラウドインフラサービスへの支出シェアは、2025年7〜9月期でアマゾンが約29%、マイクロソフトが20%、グーグルが13%を占め、3社で6割を超えた。白書は、近年はマイクロソフトとグーグルのシェアが拡大傾向にあると指摘している。
日本のパブリッククラウドサービス市場は2025年に4兆4930億円で、前年から20.3%増えた。2030年には10兆962億円になると予測されており、5年で2.2倍の規模になる計算だ。
端末の近くで処理する「エッジ」も拡大
データセンターに送らず、利用する現場の近くで処理する「エッジコンピューティング」の市場も広がっている。工場の設備や自動車、監視カメラなど、通信の遅れが許されない用途で使われる方式だ。
世界の市場規模は2025年に2650億ドル、2029年には4500億ドルまで拡大すると予測されている。日本の市場規模は2025年に127億ドルと前年から14.0%増えると推計され、2031年には261億ドルに達すると見込まれている。白書は、エッジでAIを動かす市場について、IoTとの相性がよいことからIoT市場の広がりとともに堅調な拡大が続いているとしている。
情報通信白書は、総務省が毎年公表している情報通信分野の年次報告で、令和8年版は「AIの進展がもたらす多面的影響〜人間とAIが健全に協働するデジタル社会の実現に向けて〜」を副題に掲げている。今回の数字は、そのうち第Ⅱ部第1章第8節「データセンター市場及びクラウドサービス市場の動向」に収められている。
