こども家庭庁が6月19日に閣議決定・国会提出した令和8年版こども白書は、男性の育児休業取得率が令和6年度に40.5%になったとした。ただし、育児休業を取らなかった男性の正社員に理由を尋ねると、最も多かったのは「会社で育児休業制度が導入されていなかったから」の29.1%だった。育児・介護休業法は、申し出れば育児休業を取得でき、会社は拒めないと定めている。
2年で17.13%から40.5%へ 政府目標の50%には届かず
白書が引く厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は令和4年度17.13%、令和5年度30.1%、令和6年度40.5%と上がってきた。同じ令和6年度の女性は86.6%で、令和5年度の84.1%から上がっている。
政府は令和5年12月22日に閣議決定した「こども未来戦略」で、男性の取得率の目標を令和7(2025)年に50%、令和12(2030)年に85%と定めた。令和6年度の40.5%は、直近の目標である50%に9.5%分届いていない。
取らなかった理由、最多は「会社に制度がなかったから」
白書は、厚生労働省の委託調査(令和7年度「仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」の労働者調査)を使って、育児休業を取らなかった人にその理由を尋ねた結果を載せた。対象は小学校4年生未満の子を育てて働いている人で、複数回答である。
男性の正社員・職員833人では、「会社で育児休業制度が導入されていなかったから」が29.1%で最も多く、「収入を減らしたくなかったから」26.4%、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」18.2%、「他の両立支援制度を利用したから」15.7%、「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」11.5%が続いた。「育児休業は男性ではなく女性が取得するものだと思っていたから」も8.9%あった。
子の出生後8週間以内に最大4週間取れる「産後パパ育休」を取らなかった男性の正社員・職員127人でも、「会社で育児休業制度が導入されていなかったから」が29.9%で最多だった。
法律は「申し出れば取得できる」「拒めない」と定める
最も多く挙げられた理由は、制度の理解が追いついていないことを示している。育児・介護休業法第5条第1項は、労働者は1歳に満たない子について「その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる」と定める。会社の就業規則に育児休業の規定があるかどうかは、取得できるかどうかの条件ではない。
そのうえで同法第6条第1項は、事業主は労働者からの育児休業の申し出を「拒むことができない」と規定している。例外は、労働組合などとの書面による協定で対象外と定めた場合で、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者などが該当する。産後パパ育休(出生時育児休業)も同法第9条の2に定めがあり、同じく申し出によって取得する仕組みだ。
収入減の不安には、2025年4月からの「手取り10割」
2番目に多かった「収入を減らしたくなかったから」には、給付の側から手当てが入っている。厚生労働省は2025年4月に「出生後休業支援給付金」を設けた。夫婦がともに14日以上の育児休業を取れば、最大28日分について賃金日額の13%が支払われ、給付率67%の育児休業給付と合わせて80%になる。
育児休業中は申し出により健康保険料と厚生年金保険料が免除され、給与が出なければ雇用保険料の負担もない(家族だけの会社で働く人は育休でも社会保険料が免除されず)。給付は非課税でもあるため、80%で手取りの10割に相当する。配偶者が専業主婦(夫)の場合やひとり親家庭では、本人だけの取得でも受け取れる。支給額には上限がある。
取得しても4割近くが2週間未満 新しい給付は14日以上が条件
取得の期間には差が残る。同じ調査では、令和5年度に育児休業から復職した男性のうち、5日未満が15.7%、5日以上2週間未満が22.0%で、合わせて37.7%が2週間に届かなかった。女性は6か月以上が92.5%を占める。
新しい出生後休業支援給付金は14日以上の取得を条件にしているため、現在多い2週間未満の取り方では対象にならない。取得率を50%、85%へ引き上げる目標と並んで、日数を伸ばせるかが次の焦点になる。
白書は、6歳未満の子を持つ日本の夫の家事・育児関連時間が1日あたり1時間54分(総務省の令和3年社会生活基本調査)で、米国3時間7分、スウェーデン3時間21分などと比べて短いことも示した。制度面では、男性の育児休業取得率の公表義務が2025年4月から常時雇用する労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主へ広がっている。子どもを持つ希望との差については第17回出生動向基本調査 未婚者の結婚意思は男性75.1%・女性77.8%に低下でも取り上げた。
