総務省は11月5日、統計局をかたって国勢調査の「回答の依頼」や「特別協力金のお受け取り手続きの御案内」などを装うメールが確認されているとして、ホームページの注意喚起を更新した。「現在、国勢調査は実施しておりません」と明記し、こうしたメールは総務省と無関係だとして、決して回答しないよう求めている。統計局をかたる不審メールについて総務省が注意を呼びかけるのは、2026年に入って5回目になる。

「回答の修正」「調査員の訪問」も装う

11月5日付の注意喚起によると、確認されたメールは国勢調査に関する次のような名目で回答などを求めている。

  • 「回答の依頼」
  • 「回答の修正の御案内」
  • 「特別協力金のお受け取り手続きの御案内」
  • 「調査員による自宅訪問」

総務省は「現在、国勢調査は実施しておりません。このようなメールは総務省とは無関係ですので、決して回答を行わないよう、注意してください」としている。

6月25日の注意喚起で挙げたのは「国勢調査 回答期限のご案内」という名目の1種類だった。今回は、回答をやり直させる「修正」、金銭の受け取りをうたう「特別協力金」、調査員の訪問予告と、名目の種類が増えている。総務省は今回の注意喚起で、送信の件数や被害の有無は示していない。

今年5回の注意喚起、名目は毎回変わる

総務省の同じページには、2026年に出した注意喚起が新しい順に並んでいる。統計局の名を使う点は共通するが、名目は回ごとに異なる。

日付 かたった名目 求めた行為
3月30日 「生活費増加に関する基礎調査」 回答
4月16日 労働力調査 回答
6月2日 「総務省統計局アプリダウンロードキャンペーン」 アプリの取得、住んでいる市区町村の登録
6月25日 「国勢調査 回答期限のご案内」 回答
11月5日 国勢調査の「回答の依頼」「特別協力金」など 回答など
総務省統計局をかたる不審メールへの注意喚起(2026年)

出典: 総務省「総務省統計局をかたった不審メールの注意喚起」

3月30日の回は報道資料として出され、総務省は「総務省統計局がメールからのリンクによって直接回答を求める調査は存在しません」と説明した。4月16日の回では、労働力調査について「調査員が世帯に訪問して回答を求める調査ですので、メールのみで回答を求めるものではありません」としている。6月2日の回は、メールで案内された「総務省統計局アプリ」というものは実在しないとし、URLのクリックや個人情報の入力をしないよう求めた。

国勢調査は2025年10月に実施済み

国勢調査は、国内に住む外国人を含むすべての人と世帯を対象にする全数調査で、統計法に基づく「基幹統計調査」にあたる。統計法第5条は、総務大臣が国勢調査を10年ごとに行い、その間の5年目の年には簡易な方法で行うと定めている。このため調査は5年おきに行われる。

統計局の「令和7年国勢調査の概要」によると、直近の令和7年国勢調査は2025年10月1日午前零時現在で行われた。1920年(大正9年)の第1回から数えて22回目にあたる。総務省は2026年9月29日に、この調査の人口等基本集計の結果を公表した(一人暮らしの世帯が2368万9024で全体の41.4% 5年で253万7982増 1世帯当たりは2.10人に 核家族は2010年以降で初の減少)。

調べ方も概要に示されている。調査員か調査員事務を受託した事業者が、担当地域のすべての世帯を訪ねて調査書類一式を配る。世帯はインターネット、郵送、調査員への直接提出のいずれかで回答する。調査は調査員が書類を届けるところから始まり、メールで回答を依頼する手順は概要に記されていない。2025年の調査はすでに終わり、結果の公表が進んでいる段階にあるため、国勢調査の「回答の依頼」や「回答期限」を知らせるメールが届く場面は無い。

統計法は「かたり調査」を禁止、罰則も

国の統計調査を装って個人の情報を集める行為は、統計法で禁じられている。第17条は「何人も、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得してはならない」と定める。

違反して情報を取得した者は、第57条により「二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金」に処せられる。統計局は、こうした行為を国勢調査のQ&Aで「かたり調査」という項目を立てて取り上げている。

令和7年国勢調査で尋ねたのは17項目で、氏名、男女の別、出生の年月、配偶の関係、国籍、5年前の住居の所在地、就業状態、勤め先の名称や仕事の種類、通学地などを含む。調査の対象となる世帯には、統計法第13条で回答の義務が課されている。本物の国勢調査はこれだけの個人情報を集める調査であり、その名をかたるメールに答えると、同じ範囲の情報を送信者に渡しかねない。

統計局が実施する調査は17種類

総務省は3月30日の注意喚起で、統計局が実施する統計調査を列挙している。国勢調査、労働力調査、就業構造基本調査、住宅・土地統計調査、社会生活基本調査、小売物価統計調査、家計調査、全国家計構造調査、家計消費状況調査、全国単身世帯収支実態調査、家計消費単身モニター調査、経済センサス‐基礎調査、経済センサス‐活動調査、経済構造実態調査、個人企業経済調査、科学技術研究調査、サービス産業動態統計調査の17種類だ。

メールが届いた場合、総務省は回答しないことを求めている。統計調査について確かめたいときの問い合わせ先として、統計局統計調査部調査企画課(電話03-5273-1089)を、統計調査以外は統計局総務課(電話03-5273-1117)を挙げている。公的機関を名乗る連絡には、ほかに国民生活センターをかたるハガキもある(国民生活センターかたる「最終確認通知書」ハガキに注意 訴訟・差し押さえで電話促す)。届いた名目の調査や手続きが、名乗られた機関の公式サイトに載っているかどうかで、本物かどうかを確かめられる。