警察庁は2日、令和8年(2026年)8月末までの特殊詐欺の認知・検挙状況(暫定値)を公表した。1〜8月の認知件数は2万9687件で前年同期より3732件多く、実質的な被害総額は2360億6814万円で588億3973万円増えた。件数の伸びが14.4%なのに対し、被害額の伸びは33.2%。1件あたりで見た被害が重くなっている。
1件あたりの平均被害額は683万円から795万円へ
1〜8月の認知件数2万9687件のうち、実際に金銭をだまし取られた既遂は2万9128件だった。被害総額を認知件数で割ると1件あたり約795万円で、前年同期の2万5955件・1772億2840万円から計算した約683万円を上回る。検挙件数は5443件で1095件(25.2%)増、検挙人員は1949人で409人(26.6%)増えた。
警察庁の統計で「実質的な被害総額」とは、現金をだまし取られた額だけでなく、だまし取ったり盗んだりしたキャッシュカードなどを使ってATMから引き出された額を加えた金額を指す。
特殊詐欺の被害は近年、桁が変わるように増えている。年間の実質的な被害総額は令和5年が907億7463万円、令和6年が1990億7106万円、令和7年が3257億4258万円で、2年で3.5倍を超えた。認知件数も令和5年の2万2884件から令和7年は4万3000件になっている。刑法犯全体で見ても詐欺による損害は膨らんでおり、刑法犯の財産被害4983億円、10年で3.4倍 8割が詐欺 増えた963億円のうち874億円は現金という構図が続いている。
今年から「ニセ警察詐欺」を独立した手口に
警察庁は令和8年から、統計上の手口の整理を変えた。被害が急増している「ニセ警察詐欺」を独立した手口として位置づけ、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺の一手口として扱ったうえで、全体を「特殊詐欺」と呼ぶことにしたものだ。被害の全体像と、ニセ警察詐欺の現状や対策を分かりやすくするためだと説明している。
統計上の特殊詐欺は、被害者に電話やSNSなどを通じて、対面することなく信頼させたり関係を深めて信用させたりしたうえで、指定した預貯金口座への振り込みなどの方法で現金等をだまし取る犯罪と定義されている。なお、ニセ警察詐欺の検挙件数と検挙人員は令和8年から集計を始めたため、令和7年の数字は各手口に振り分けられており、前年同期との比較ができない。
SNS型投資詐欺は年初から減り、ニセ警察詐欺が入れ替わる
手口別で件数・被害額とも最も多いのはSNS型投資詐欺で、1〜8月は7097件・937億4333万円。前年同期から2347件(49.4%)、328億円(53.8%)増えた。ただし月ごとに追うと様子が違う。令和8年1月の1084件・156億9763万円から減り続け、8月は531件・56億2504万円となった。
入れ替わるように増えているのがニセ警察詐欺で、1〜8月は6346件・728億5512万円。件数は前年同期より274件(4.1%)少ないが、被害額は155億円(27.0%)多い。月別では1月の737件・69億2707万円から8月は924件・111億4534万円へ伸びている。特殊詐欺の被害急増、3月末までに938億円 前年同期を414億円上回る SNS型投資詐欺が主因と報じた3月末時点から、主役が移りつつある。
このほかの手口は、架空料金請求詐欺が4211件・97億5000万円、オレオレ詐欺が2739件・104億2000万円、SNS型ロマンス詐欺が3506件・325億8160万円、還付金詐欺が2058件・46億5000万円。預貯金詐欺は667件・6億円で、件数が前年同期から508件(43.2%)減った。
警察庁推奨アプリは221万ダウンロード
携帯電話を使った対策として、警察庁が推奨する防犯アプリの累計ダウンロード数は8月末現在で概数221万4500件となっている。今回の数値はいずれも暫定値で、確定値は後日改められる。
