高市早苗首相は9月21日、第81回国連総会に出席するため米国へ出発するのを前に記者会見し、一般討論演説で北朝鮮による拉致問題、気候変動対策、法の支配の重視、国連改革の必要性を訴える考えを示した。演説の原稿については「今日もギリギリまでペン入れをしておりましたので、まだ最終調整中ではございます」と述べ、出発当日まで手を入れていることを明かした。官邸が公開した会見録は速報版である。
演説の柱は4つ 「加盟70周年」を前面に
高市首相はまず「今年は、日本の『国連加盟70周年』という節目の年でございます」と切り出したうえで、演説で取り上げたい項目として「北朝鮮による『拉致の問題』」「『気候変動対策』の重要性」「『法の支配』の重視」「国連改革の必要性」の4点を挙げた。気候変動を柱に据えた理由として、「これだけ、日本国内でもそうですが、世界各地で災害が起きている」ことを挙げている。
日本が国連に加盟したのは1956年12月18日で、国連の加盟国一覧にもその日付が記載されている。今年12月で加盟70年を迎える。
国際社会への貢献についても説明する方針で、「『進化したFOIP(自由で開かれたインド太平洋)』の下、エネルギーを始めとするサプライチェーンの強靱(きょうじん)化、グローバルサウスとの連携、またAIのような技術革新に伴う課題への対応などについて、日本としてしっかりとリーダーシップを発揮していく、その決意を表明したい」と語った。グローバルサウスは、アジアやアフリカ、中南米などの新興国・途上国を指す言い方である。
認定被害者17人のうち12人が未帰国、署名は1930万筆超
拉致問題をめぐっては、被害者の帰国が2002年を最後に止まっている。拉致問題対策本部によると、日本政府が北朝鮮当局による拉致被害者として認定しているのは17人。このうち帰国したのは2002年10月の5人だけで、残る12人は今も帰国していない。帰国した5人は、拉致から24年ぶりの帰国だった。
北朝鮮が拉致を認めて謝罪し、再発防止を約束したのは2002年9月の第1回日朝首脳会談である。2004年5月の第2回会談では、北朝鮮側が真相究明のための徹底した調査を再開すると明言したが、政府は「未だに北朝鮮当局から納得のいく説明がなされていない」としている。政府は、安否不明の被害者は全員が生存しているとの前提に立ち、認定の有無にかかわらず全員の即時帰国を求める立場を取っている。
国内では1997年に被害者家族による「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が結成され、2026年1月末現在で1930万筆を超える署名が首相に提出されている。
事務総長とは安保理改革、日米首脳会談は日程を確認せず
二国間の会談について、高市首相は国連事務総長との間で「安保理改革」を議論すると述べた。安保理=安全保障理事会をめぐっては、5月にも会談している。
日米首脳会談については、記者が「22日に予定されているトランプ大統領との首脳会談」と前置きして質問したのに対し、高市首相は日程に触れず、「トランプ大統領との日米首脳会談を含め、各国の首脳との会談については最終調整中でございます」と答えるにとどめた。木原稔官房長官が18日の記者会見で「行う方向で最終調整中」と説明したのと同じ表現で、首相自身の説明も「最終調整中」にとどまった。
冒頭では台風にも触れ、「台風で犠牲になられた方々に哀悼の誠を捧(ささ)げます」と述べたうえで、木原官房長官と細野豪志防災担当相に「緊張感を持って万全の対応をするように」指示したと説明した。細野氏は9月17日発足の第2次高市改造内閣で復興相と内閣府特命担当相(防災)を兼ねている。
国連が公表している暫定日程では、第81回総会の一般討論は9月22日から26日までと28日に開かれる。高市首相の訪米日程は21日から24日までで、演説はこの期間内に行われる。
