総務省は9月18日、令和8年度9月期の交通安全対策特別交付金の額を180億1000万円と決定し、各都道府県知事あてに通知した。内訳は都道府県分が103億6700万円、市町村分が76億4300万円で、現金の交付は9月29日に行う。前年同期の197億5700万円を17億4700万円下回り、都道府県分と市町村分を合わせた額は47都道府県のすべてで前年同期を割り込んだ。

原資は反則金 使い道は信号機やカーブミラーに限られる

交通安全対策特別交付金は、名前こそ見慣れないが、身近な道路の設備を支えている財源である。根拠は道路交通法の附則第16条第1項で、「国は、当分の間、交通安全対策の一環として、道路交通安全施設の設置及び管理に要する費用で政令で定めるものに充てるため、都道府県及び市町村(特別区を含む。)に対し、交通安全対策特別交付金を交付する」と定める。

原資は税金ではない。総務省の資料によると、昭和43年の道路交通法改正で創設された交通反則通告制度に基づいて納められる反則金の収入が原資で、そこから通告書の送付に要した費用の相当額などを差し引いた額が交付金の総額になる。交通違反で反則金を納めた人の金が、そのまま道路の安全設備に回る仕組みだ。

使い道も政令で絞られている。総務省が例示するのは信号機、道路標識、横断歩道橋、さく(ガードフェンス、防護柵)、道路反射鏡(カーブミラー)で、自治体が国の補助を受けずに単独で行う整備の経費に充てる。一般財源のように他の用途へ振り向けることはできない。

3年続けて減少 4年前より34億円少ない

9月期の交付額は、ここ数年で細り続けている。令和5年度は214億6100万円、令和6年度は204億7900万円、令和7年度は197億5700万円、そして今回の令和8年度は180億1000万円で、3年続けて前年を下回った。令和5年度と比べた減少幅は34億5100万円で、率にすると16.1%にあたる。

都道府県別に都道府県分と市町村分を合わせると、最も多いのは東京の17億5000万円(都道府県分11億4800万円、市町村分6億200万円)で、大阪の12億9900万円、愛知の12億7200万円、神奈川の12億400万円が続く。最も少ないのは鳥取の6700万円だった。

減少額が大きいのは東京の1億5400万円で、大阪が1億1100万円、福岡が1億1000万円、神奈川が1億円、埼玉が9600万円と続く。増えた団体は1つもなかった。

なお、この9月期の原資となる反則金の収納期間は、道路交通法附則第18条第1項により前年度2月から当該年度7月までと定められている。令和8年4月1日には、令和6年法律第34号による改正道路交通法が施行され、16歳以上の自転車の一定の交通違反にも青切符(交通反則通告制度)が導入された。今回の収納期間はその4月以降の4か月を含むが、交付額は前年同期を下回った。総務省の公表資料は、減少の理由には触れていない。

配分は事故件数・人口・道路延長で2対1対1

団体ごとの配分額は、それぞれの判断で決めているわけではない。道路交通法附則第16条は「当該都道府県及び市町村の区域における交通事故の発生件数、人口の集中度その他の事情を考慮して政令で定めるところにより算定した額とする」と規定し、総務省の資料によると、実際の配分指標は交通事故発生件数、人口集中地区人口、改良済道路延長の3つで、比率は2対1対1である。事故が多く、人口が密集し、整備済みの道路が長いほど多く配られる。

小さな市町村には下限がある。9月に交付すべき額が25万円に満たない市町村には、その年度は交付金を交付せず、その分は当該市町村を包括する都道府県に加算して交付される。交付は年2回で、9月期は前年度2月から当該年度7月まで、3月期は当該年度8月から1月までの反則金収入が原資になる。

市町村分が都道府県分を上回ったのは宮城、神奈川、静岡、京都、岡山、広島、福岡、熊本の8団体で、なかでも神奈川は市町村分7億円に対して都道府県分が5億400万円と、差が最も大きかった。交付にあたっては、道路交通法附則第20条により総務大臣が地方財政審議会の意見を聴くことになっている。