政府は9月29日、令和8年度の一般会計予備費から1118億6831万5千円を使うことを閣議決定した。2027年4月に予定される食料品の消費税率1%への引き下げと、同じ4月に支給が始まる新しい給付「就業者負担軽減支援金」を実施するための準備費である。所管別では経済産業省が781億1390万4千円、内閣府が281億8086万円、デジタル庁が50億2726万5千円、財務省が5億4628万6千円となっている。
消費税の引き下げ準備に781億円、支援金の準備に327億円
閣議決定の文書に並ぶ事項名で金額が最も大きいのは、経済産業省所管の「飲食料品消費税率の臨時的な引下げの円滑な実施に必要な経費」781億1390万4千円である。食料品の消費税率を1%に下げる措置については、食料品の消費税1%、大綱を閣議決定 2027年4月から2年間 支援金の額は決定後も「検討し定める」のままで伝えたとおり、2027年4月から2年間の期限付きで実施される。
もう一方の「就業者負担軽減支援金制度の円滑な実施に必要な経費」は、内閣府271億9648万8千円、デジタル庁50億2726万5千円、財務省5億4628万6千円の3府省庁分をあわせて327億7003万9千円。このほか内閣府に、引き下げと支援金の両方を国民に知らせる政府広報の経費として9億8437万2千円が計上された。支援金の支給の仕組みは、「就業者負担軽減支援金」の支給は年1回 2029年度だけ4月と秋の2回に分けて半年分ずつ 費用の負担割合は年末までに国と地方で協議のとおり、市町村が年1回支給する形で設計が進んでいる。
デジタル庁分の半分は公金受取口座システムの改修
デジタル庁が9月28日付で財務大臣に提出した予備費使用要求書によると、同庁の50億2726万5千円は「公金受取口座登録システム等の改修等に要する経費」に充てる。内訳で最も大きいのは公金受取口座登録システムの24億5318万4千円で、同庁分の48.8%にあたる。次に多いのが自治体等共用SaaSの8億705万3千円、情報提供等記録開示システムの7億6462万7千円である。
国税の側にも手が入る。国税総合管理(KSK)システムには備品費5億3460万円と雑役務費3333万円、国税電子申告・納税システム(e-Tax)に1086万円、確定申告書等作成コーナーの借料に1258万3千円が計上された。このほか情報提供ネットワークシステム1億6497万1千円、公共サービスメッシュ1億1366万3千円、法人番号システム等2410万円が並ぶ。
改修の中心となる公金受取口座は、公金受取口座の登録率、64.3%から61.1%へ 登録は1年で34万件しか増えず、マイナンバーカードは571万枚増 口座のないカードは4066万枚で伝えたとおり、マイナンバーカードの保有者に対する登録率が61.1%にとどまっている。
予備費は内閣の責任で支出し、承諾は事後に国会から得る
予備費は、予見し難い予算の不足に充てるために国会の議決であらかじめ設けておく費用である。日本国憲法第87条は、内閣の責任でこれを支出できるとした上で、すべての予備費の支出について内閣は事後に国会の承諾を得なければならないと定めている。
手続きは財政法が定める。第24条は内閣が相当と認める金額を歳入歳出予算に計上できるとし、第35条は予備費を財務大臣が管理すると規定する。各省各庁の長は理由・金額・積算の基礎を明らかにした調書を財務大臣に送り、財務大臣がそれを調査して予備費使用書を作り、閣議の決定を求める。今回デジタル庁の要求書が9月28日付で、閣議決定が翌29日という日付の並びは、この流れをそのまま示している。第36条により、予備費で支出した金額の調書は次の国会の常会に提出され、そこで承諾を求めることになる。
半年で予算の52.6%を使った
閣議決定の文書に参考として付された数字では、令和8年度の一般会計予備費の予算額は1兆5135億462万5千円である。前回までの使用累計額が6844億9544万7千円あり、今回の1118億6831万5千円を加えると使用額は7963億6376万2千円になる。予算額に対する割合は52.6%で、差引残額は7171億4086万3千円となった。
年度の半分が過ぎた時点で、不意の支出に備えて置いた財源の半分より多くが使われたことになる。年度後半に災害などで大きな支出が必要になった場合、残る7171億4086万3千円で足りなければ補正予算を組む必要が生じる。
