デジタル庁は9月25日、公金受取口座の登録状況に関するダッシュボードを更新した。2026年8月時点の累計登録数は6385万6088件で、1年前の2025年8月の6351万3119件から34万2969件しか増えていない。一方で登録率は64.3%から61.1%へ下がった。

この登録率は、デジタル庁が「累計登録数をマイナンバーカードの保有枚数で割った値」と定めているものだ。総務省の集計では、カードの保有枚数は令和8年8月末で1億452万5120枚と、1年前の9881万4560枚から571万560枚増えている。登録がほぼ止まったまま、割り算の分母にあたるカードだけが増えたため、割合が押し下げられた。

8か月は前月より減っていた

ダッシュボードが載せる直近14か月のうち、登録数が前月より減った月が8か月ある。デジタル庁は累計登録数を「抹消の申請があった口座を含まない」数として数えており、新たに登録した人より口座を消した人が多ければ、累計はそのぶん目減りする。

減り幅が最も大きかったのは2025年7月で、1か月で21万379件減った。逆に最も増えたのは2026年3月の29万171件で、1日あたり9360件にあたる。所得税の確定申告(還付申告)で還付金の受取口座をそのまま公金受取口座として登録する方法が2022年1月から使えるようになっており、申告の時期にあたる3月に登録が伸びる形になっている。

直近の2026年8月は8458件の増加で、1日あたりにならすと273件だった。3月のピークの34分の1にとどまる。

カードを持つ人の4割は口座を登録していない

カードの保有枚数から登録数を差し引くと、2026年8月時点で4066万9032枚になる。1年前は3530万1441枚だったので、この1年で536万7591枚広がった計算だ。カードは持っているが振込先の口座は登録していない、という状態がこれだけ残っている。

カードそのものの普及は進んでいる。総務省によると、令和8年8月末の保有枚数率は人口1億2376万7642人に対して84.3%で、1年前の79.4%から上がった。カードを配る段階は終わりに近づく一方、カードを使って行う手続きの一つである口座登録は伸び悩んでいる。

同じ構図は、カードの使われ方を示す別の数字にも表れている。デジタル庁の集計では、カードの電子証明書で本人確認をする民間事業者は1年で813社から1355社へ増えた(マイナンバーカードで本人確認、民間1355社に 1年前は813社 増えた542社のうち295社は銀行・農協など デジタル庁)。受け入れ側の窓口は広がっているが、利用者が自分で登録する手続きは別の話になる。

給付を急ぐときの「振込先」の備え

公金受取口座は、デジタル庁の説明によれば「迅速かつ確実な給付金等の支給を目的とし、金融機関にお持ちの預貯金口座を国(デジタル庁)に任意で登録できる制度」だ。登録しておけば、給付の申請のたびに口座番号を書いて通帳の写しを添える手間が省ける。緊急時の給付金のほか、年金、所得税の還付金、児童手当など160種類以上の給付に使えるとしている。

裏を返せば、登録していない人に配る場合は、申請書に口座を書いてもらい、自治体が1件ずつ確認する従来の手順に戻る。給付を決めてから実際に振り込むまでの期間は、この確認作業の量に左右される。物価高対策の給付金のように「早く配る」ことが目的の施策ほど、登録率の頭打ちは効き方に響く。

デジタル庁はカードの機能をスマートフォンへ載せる取り組みも進めており、住民票の写しをスマホに入れて持ち歩く仕組みの技術要件づくりも始まっている(住民票の写しをスマホの「ウォレット」へ デジタル庁が発行・検証の技術要件を検討 委員11人、取りまとめは2027年2月)。ただし口座登録については、伸び悩みへの対応策はダッシュボードでは示されていない。