消防庁は9月18日、8月26日に実施した全国瞬時警報システム(Jアラート)の全国一斉情報伝達試験の結果を公表した。国から送った試験用の信号で市町村の防災行政無線などを自動起動させる試験で、全国1741市町村のうち自動起動を実施したのは1583市町村だった。実施した市町村のうち5市町村では、Jアラート受信機などの機器の故障により住民への情報伝達ができなかった。
消防庁は伝達できなかった5市町村に対し、直ちに改善などの対策を要請した。機器が故障していた市町村には、修理が終わるまでの間は常時人員を配置し、Jアラートの情報を確実に住民へ伝えられる体制をとるよう求めている。いずれの市町村でも、国から受信機までの情報伝達そのものは正常だった。
7月の試験では12市町村で伝わらなかった
今年度の試験は年4回の予定で、8月26日は第2回にあたる。7月1日の第1回では1685市町村が自動起動を実施し、12市町村で住民への情報伝達ができなかった。
伝達できなかった市町村の数は、令和7年度は4市町村、3市町村、5市町村、8市町村の順で推移し、令和6年度も7市町村、9市町村、7市町村だった(第2回は台風10号の影響で中止)。今年度第1回の12市町村は、この3年間で最も多い。8月26日の5市町村はそこから減ったが、令和7年度前半の3〜4市町村よりは多い。
自動起動を実施した市町村は近年で最少
もう一つ目立つのが、試験に加わった市町村そのものの減少だ。8月26日に自動起動を実施したのは1583市町村で、対象となる1741市町村のうち158市町村が試験を行っていない。
令和7年度は4回の試験で1734市町村、1673市町村、1684市町村、1727市町村が実施しており、1583市町村は近年で最も少ない水準にあたる。消防庁は過去の試験結果をまとめた資料の中で、「国から情報を発信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動させるところまで確認できる試験の機会は限られているため、全ての市町村が必ず参加すること」と明記している。
内閣官房と気象庁の情報を人手を介さず流す仕組み
Jアラートは、弾道ミサイル情報などの国民保護情報を内閣官房から、緊急地震速報や津波警報、気象警報などを気象庁から受け取り、消防庁の送信設備を経由して全国の都道府県と市町村へ人工衛星と地上回線で送るシステムだ。特に緊急を要する情報は、市町村の防災行政無線を自動で起動させ、人手を介さずに住民へ音声で流す。ミサイル発射情報では14秒間の国民保護サイレンに続いて「ミサイル発射。ミサイル発射。ミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難してください」という音声が流れる。
実際に9月20日には北朝鮮が弾道ミサイルの可能性があるものを発射している(北朝鮮が「弾道ミサイルの可能性があるもの」発射、すでに落下と推定 高市首相が3項目を指示 官邸が緊急速報を掲出)。自治体側では、放送を聞いた住民が実際に動けるかを確かめる避難訓練も各地で行われており、熊本県人吉市では9月27日に小学校から緊急一時避難施設へ移動する訓練が予定されている(弾道ミサイル想定の住民避難訓練、熊本・人吉市で9月27日 小学校からバスで緊急一時避難施設へ 今年度は19件)。避難先の確保も途上で、地下の緊急一時避難施設は全国4540か所、収容力は人口の5.9%分にとどまる(弾道ミサイルの避難先、地下は全国4540か所 人口の5.9%分にとどまる 政府は3月にシェルター基本方針を閣議決定、目標を都道府県から市区町村単位へ)。伝える仕組みが動かなければ、訓練も避難先の整備も生きない。
残る試験は11月と2月
一斉試験は平成24年度に始まり、当初は年1回程度だったが、機器の点検や動作確認を年度内に複数回行うほうが不具合を減らせるとの考えから、平成30年度以降は原則として年4回行われている。試験放送は上りの4音チャイムに続けて「これは、Jアラートのテストです」を3回繰り返し、「こちらは○○市です」といったコールサインと下りの4音チャイムで終わる。
今年度の残りは11月11日午前11時(予備日は11月25日)と、令和9年2月3日午前11時(予備日は2月17日)に予定されている。試験は実際の緊急事態で中止されることもあり、令和5年度の第1回は北朝鮮による弾道ミサイル発射事案の発生を受けて取りやめになった。
