総務省が7月24日に公表した令和8年版情報通信白書によると、2025年度末の無線局数は3億7,588万局で、前年度より3.7%増えた。このうち、衛星と直接通信するスマートフォンなどが分類される「携帯移動地球局」は3,584万局で、2023年度末の14万局から3,570万局増えた。2025年4月に国内で衛星とスマートフォンの直接通信サービスが始まったことが主な要因で、携帯電話端末がほぼ全部を占めてきた無線局の構成が2年で変わった。

「その他」が58万局から3,627万局へ

白書は無線局を陸上移動局、アマチュア局、簡易無線局、基地局、その他の5区分で集計している。無線LAN端末のように免許を要しない無線局は数に入っていない。

2025年度末の内訳は、携帯電話端末などの陸上移動局が3億3,658万局(前年度比2.4%増)、その他が3,627万局、簡易無線局が159万局(同3.5%増)、基地局が112万局、アマチュア局が33万局だった。

このうち「その他」は、2023年度末には58万局しかなかった。それが2024年度末に3,057万局、2025年度末に3,627万局へ増えている。総務省は、衛星ダイレクト通信サービスの提供が開始されたことによる携帯移動地球局の増加の影響が大きい、と説明している。

構成比も動いた。陸上移動局が無線局全体に占める割合は、2023年度末が98.9%、2024年度末が90.7%、2025年度末が89.5%。白書は「2023年度以前と比較すると減少しているものの、依然として高い水準になっている」としている。携帯電話の端末がほぼすべてという状態から、10局に1局近くが衛星と直接つながる局になった計算だ。

空が見えればつながるサービスが2025年4月に始まった

数字が跳ねたきっかけは、KDDIと沖縄セルラーが2025年4月10日に始めた「au Starlink Direct」である。地上の基地局を経由せず、手元のスマートフォンが上空の衛星と直接電波をやり取りする仕組みで、当初はテキストメッセージ(SMS/RCS/iMessage)の送受信、現在地の位置情報の共有、緊急地震速報や津波警報、Jアラートの受信に対応した。

KDDIはリリースで、auの人口カバー率は99.9%を超えているが、日本特有の地形により面積カバー率は約60%だと説明している。山間部や離島、海上といった残りの区域を、基地局を建てずに衛星で埋める狙いだ。

無線局の統計が跳ねたのは、この仕組みが電波法の上では携帯電話端末と別扱いになるためだ。地上の基地局とやり取りする端末は陸上移動局だが、衛星と直接やり取りする端末は携帯移動地球局に分類される。端末が急に何千万台も売れたわけではなく、衛星と直接通信できるようになった端末が別の区分で数え上げられた、というのが数字の中身である。契約数の統計とは数え方が違い、3G携帯の契約数がゼロに 2026年6月末 ドコモのFOMA終了で24年半の歴史に幕 5Gは1億3153万契約で扱った契約数とは直接比べられない。

事業者が増えれば局数はさらに積み上がる

楽天モバイルも衛星との直接通信に乗り出している。米AST SpaceMobileと組む「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」について、日本国内で2026年第4四半期のサービス提供開始を目指すとしており、2025年4月には国内で初めて低軌道衛星と市販スマートフォンの直接通信によるビデオ通話に成功したと発表した。提供が始まれば、携帯移動地球局の数はさらに積み上がる。

無線局の増加は、電波という有限の資源をどう配り直すかという課題に直結する。総務省は周波数の再編計画で、2040年に必要な電波は73.1GHz幅、確保済みは26.5GHz幅 総務省が周波数再編の計画案 6G候補帯の共用検討は2027年度からと見込んでいる。地上の携帯電話網に加えて衛星が電波を使うようになれば、限られた帯域をどう分け合うかという論点も重くなる。

一方で、減り続けている区分もある。アマチュア局は2014年度末の44万局から2025年度末の33万局へ、11年で11万局減った。簡易無線局は同じ期間に97万局から159万局へ増えている。