関東財務局の千葉財務事務所長と東京財務事務所長、日本銀行金融機構局長は9月24日、令和8年台風第25号に伴う災害を受けた千葉県内と東京都内の被災者に対し、金融上の措置を適切に講じるよう金融機関へ連名で要請した。預金の通帳や印鑑を失った人でも払い戻しを受けられるようにすることが柱で、要請先は預貯金取扱金融機関、証券会社等、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、電子債権記録機関の6種類にわたる。

通帳も印鑑もなくても払い戻し

預貯金を扱う金融機関への要請は12項目ある。預金証書や通帳、届け出の印鑑などをなくした場合でも、被災状況を踏まえた確認方法で預金者本人の申し出であることを確認できれば払い戻しに応じるよう求めた。事情によっては定期預金や定期積金の期限前払い戻しに応じ、その預金を担保にした貸し付けにも応じることとしている。水や泥で傷んだ紙幣や貨幣の引き換え、国債をなくした場合の相談に応じることも項目に入っている。

窓口が開けない場合でも現金自動預払機(ATM)で払い戻しを行うなど、被災者の便宜を考えた措置を講じることも求めた。休日や平常の営業時間外の営業についても適宜配慮するとしている。営業を止めた店舗名と、ATMを動かし続ける店舗名は、店頭の掲示に加えて新聞やインターネットのホームページに載せて周知するよう要請した。

手形が落ちなくても不渡報告に配慮

事業者向けには、支払期日が過ぎた手形を関係金融機関と話し合って取り立てできるようにすることを求めた。災害のために支払えない手形・小切手については、不渡報告への掲載と取引停止処分に配慮するよう要請している。全国銀行協会の電子交換所規則は、不渡報告に掲載された人が、その手形の交換日から6か月後の応当日の前日までを交換日とする手形で2回目の不渡情報登録をされたときは取引停止処分に付すと定めている。処分を受けると、参加銀行は処分日から2年間、その相手と当座勘定と貸し出しの取引ができない(債権保全のための貸し出しは除く)。災害による資金繰りの詰まりがそのまま事業の継続を絶つことを避ける趣旨で、紙の手形を電子化した電子記録債権についても同じ配慮を求めた。

融資では、相談所の開設、審査での提出書類を必要最小限にする手続きの簡便化、融資の迅速化、既存の融資の返済猶予といった貸付条件の変更を挙げた。住宅ローンなどを返せなくなった個人については、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続きや効果の説明を含め、利用の相談に適切に応じることを求めている。このガイドラインは一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関が運営し、自然災害の影響で住宅ローンや事業性ローンを返せない、または近い将来返せないことが確実と見込まれる個人が対象となる。手続きは、最も多額のローンを借りている金融機関に着手の希望を申し出るところから始まる。

保険金は「できる限り迅速に」

生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者への要請は5項目。保険証券や届け出印鑑をなくした契約者についても、申し出の契約内容が確認できれば保険金の請求案内を行うなど、できる限りの便宜措置を講じるとした。保険金の支払いはできる限り迅速に行うよう配慮し、保険料の払い込みは被災者の状況に応じて猶予期間を延長するよう求めている。

証券会社等には6項目を要請した。届け出印鑑をなくした場合の払い戻しへの対応、有価証券をなくした場合の再発行手続きへの協力に加え、預かっている有価証券の売却・解約代金について即日払いの申し出があれば可能な限り応じることを挙げている。

前提は災害救助法の適用

こうした金融上の措置は、災害救助法が適用された地域の被災者を対象に要請される。内閣府政策統括官(防災担当)は9月21日、台風第25号に伴う災害により多数の者が生命または身体に危害を受ける恐れが生じているとして、災害救助法施行令第1条第1項第4号に基づき、千葉県の15市8町1村と東京都大島町への適用を決めた。千葉県内は銚子市、木更津市、野田市、成田市、旭市、勝浦市、流山市、鴨川市、君津市、富津市、袖ケ浦市、南房総市、匝瑳市、香取市、いすみ市の15市と、栄町、神崎町、横芝光町、睦沢町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町の8町、長生村の1村。法の適用日は千葉県が9月20日、大島町が9月21日である。

千葉県ではこれとは別に、内水氾濫の想定図づくり、立憲・水岡代表が政府支援を要求 千葉豪雨の浸水9割が「想定外」で取り上げた8月13日からの大雨でも21市4町に災害救助法が適用されており、内閣府はこれらの市町が継続的に救助を必要としているとして、台風第25号に伴う災害でも法が適用されているとの整理を示した。台風第25号は21日に関東へ接近し、東京ゲームショウ、最終日21日の開催を中止 台風25号接近で 史上最長5日間は4日間にのように、屋内外の大型イベントが相次いで日程を切り上げていた。

要請では、今後災害救助法の適用地域が追加された場合も同様に措置を講じるよう求めている。罹災証明書を求めている手続きについては、市町村での交付状況を勘案し、現況の写真の提出など他の手段で被災状況を確認することや、罹災証明書の後日提出を認めることも挙げられた。