防衛省が公表した令和8年版防衛白書によると、2026年度の防衛関係費で翌年度以降に支払うことを約束した「後年度負担」の残高が16兆8274億円に達した。前年度の15兆3886億円から1兆4388億円(9.3%)増えた。2026年度に実際に支払う歳出予算8兆8093億円の約1.9倍にあたる規模で、防衛費の増額が先々の支払い義務として積み上がっている実態を示している。

予算8兆8093億円のうち、今年度に契約して今年度使うのは1兆8798億円

白書が示した2026年度の防衛関係費の内訳を見ると、歳出予算8兆8093億円は三つに分かれる。隊員の給与や退職金、営内での食事にあてる「人件・糧食費」が2兆3897億円、2025年度以前に結んだ契約に基づいて2026年度に支払う「歳出化経費」が4兆5398億円、2026年度に契約して2026年度に支払う「一般物件費」が1兆8798億円である。

つまり、今年度の予算のうち半分強にあたる4兆5398億円は、すでに過去に決まった買い物の代金の支払いに充てられる。装備品の修理費や隊員の教育訓練費、燃料の購入費といった日々の活動に使う一般物件費は、全体の2割程度にとどまる。白書自身も「人件・糧食費と歳出化経費という義務的性質を有する経費が全体の8割を占めて」いると記している。

増えたのは過去の契約分 新規契約分は3.6%減

後年度負担の中身を分けると、増加分がどこから来ているかがはっきりする。2025年度以前の契約に基づき2027年度以降に支払う「既定分」は、8兆7675億円から10兆4466億円へ1兆6791億円(19.2%)増えた。これに対し、2026年度に新たに結ぶ契約で生じる「新規後年度負担」は6兆6211億円から6兆3808億円へ2403億円(3.6%)減っている。

新たに発注する量は前年度より抑えられたのに、残高全体は増えた。2023年度以降に積み上げた大型契約の支払いが、まだ先の年度に残っているためだ。この構造は、装備品の価格が想定を超えて上がると支払総額がさらに膨らむことを意味する。取得価格の上昇については防衛装備品の取得価格、3年で5〜7割上昇 哨戒艦は1隻89億円から143億円に 計画の為替前提は1ドル108円、今年7月は157〜163円台で伝えた。

複数年契約という仕組み

護衛艦や戦闘機、格納庫や隊舎の建設は、契約から納入・完成までに数年かかる。このため防衛省は、契約時に原則5年以内の支払いをあらかじめ約束する「国庫債務負担行為」という形をとる。次年度以降に支払う予定の部分が後年度負担であり、支払いの年度が来ると歳出予算に「歳出化経費」として計上される。一般物件費と新規後年度負担を足した額はその年度の発注総額で、2026年度は8兆2607億円と前年度から1725億円(2.0%)減った。

防衛省は2026年度予算で、装備品のまとめ買いや仕様の絞り込み、費用対効果の低い事業の見直しなどにより約3734億円を縮減したとしている。

一般会計に占める割合は7.20%

白書の資料編によると、防衛関係費が一般会計歳出に占める割合は2026年度で7.20%となり、2021年度の4.81%から上がった。金額では2021年度の5兆1235億円から5年で3兆6858億円増えた計算になる。一方、国内総生産(GDP)に対する比率は2025年度の1.347%から2026年度は1.273%に下がった。当初見通しのGDPが629兆3000億円から691兆9000億円へ9.9%伸びたためで、防衛費の伸び3.9%を上回った。

政府は国家安全保障戦略で2027年度にGDP比2%の水準を目指すとしている。財源面では、令和8年度税制改正で2027年1月から所得税額に1%の「防衛特別所得税」を課すことが決まっている。年末に改定を予定する国家安全保障戦略など「三文書」の内容によっては、後年度負担の水準がさらに動く可能性がある。2027年度予算の概算要求については防衛費の概算要求は8兆8432億円 今年度予算の8兆9843億円を1411億円下回る 三文書の改定待ちで「事項要求」に積み残しで伝えた。

なお、ここまでの金額はいずれも沖縄に関する特別行動委員会(SACO)関係経費と米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分を除いたものだ。これらを含めると、2026年度の歳出額は9兆353億円、後年度負担は17兆8065億円になる。